平和のための脱中国
ロシアの侵攻から1年を過ぎたウクライナ戦争。それでも西側諸国を中心としてウクライナへのバックアップが強化されていることで、ロシアの横暴をどうにか抑え込むことができている。今後の情勢は不透明だけれど、ロシア軍が速やかに撤退することを願うばかり。
でも侵攻が起きた当初、ヨーロッパ諸国の動きは鈍かった。それは経済的な問題があったから。ドイツを筆頭として、ロシアの天然ガスに依存する経済を継続してきた。一国集中的なエネルギー政策の結果、反ロシアの狼煙を上げるのに時間を要することになった。その期間、どれだけ多くの人が命を落としたのかを考えると辛い。
経済を通じて世界各国が手を組むのは素晴らしい。だけどあくまでも対等な関係が維持されていないと、少しずつ依存体質になってしまう。そしてそうした意図を持って、自国への依存を高めようとしている国があるのも事実。東アジアでは言うまでも、中国がそうした行動に出ている。
今や世界中の企業が中国に生産拠点を置いている。それは日本でも同じ。コロナで特定の街がロックダウンされたことで、多くの日本企業があたふたしたということがあった。そこで気になるのが台湾有事。
もし中国が台湾を武力制圧しようとしたとき、日本政府は厳しい対応を迫られる。それはウクライナ問題におけるドイツと同じ立場。そのときに日本の大企業が中国に依存してる状況だと、経済界からの圧力で思い切った措置を取れないかもしれない。
そのためにも日本企業は脱中国を本気で検討するべき。完全撤退とまではいかなくても、依存体質を改善していく方がいいと思う。そんななか、とても好意的に思えるニュースを見た。
アイリスオーヤマが「Made in Japan」復活へ大きく舵 プラ製品を中国から国内製産に
生活用品の販売でシェアを伸ばしているアイリスオーヤマが、生産拠点を中国から国内へ移しているとのこと。コロナ禍の初期に、マスクの製造を国内に移行するというのは報道されていた。そして2020年にはアメリカ、韓国、フランス、日本でマスクを製造している。
脱中国を考えているのは、政治的な思惑からではない。原油高の影響で、商品製造のコストが高騰。昨年に値上げに踏み切ったけれど、さらなるテコ入れが必要になったとのこと。
中国で生産しているプラスチック製品の輸送に莫大な運送費がかかる。原油高で去年の2倍になっているそう。そこで日本の工場に生産拠点を移すことで、2割の経費削減になるという試算が出た。それだけでなく園芸用品等の国内移管を検討している。
さらに家電商品に関しても、100億円を投じて岡山に新しい工場を建設するそう。そこで200人の新規雇用を目指している。現在は中国で一括生産している家電製品についても、国内製造に移していく意向らしい。
おそらく同じようなことを考えている企業は多いはず。つまり以前のように中国の人件費が安かった時代が終わったということ。それだけ日本が貧しくなっているということでもあるけれど、とにかく特定の国に依存する経済体質を改めるチャンスだと思う。
企業は利益を上げるのが宿命。戦争を回避する目的だけでは動かない。でも赤字を減らすだけでなく、東アジアの平和に寄与できるのなら、日本国内への回帰を検討する企業が増えるかも。アイリスオーヤマに続く企業があればいいなと思う。
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