関西人が得意な雑談力
昨日は4月の気温だったのに、今日は一気に冬へ後戻り。朝起きると雪がちらつき始め、やがて吹雪のように強くなった。
こりゃ買い物に出るのは大変だと思っていたけれど、なんとか雪雲は去ってくれたので大助かり。でも空気は冷たくて、久しぶりに身体を縮ませて歩いていた。
でもボクの場合、昨日は断食をしていたので体感温度が『超真冬』だったから、たいして温度差を感じなかった。
もし知り合いと街でばったり会って気温の変動について話をしたら、チグハグな答えをしていたかもしれない。昨日も今日もめちゃ寒いですね、と話したら、きっと何かのネタ振りがボケかと思われたかもw
相手のそんな気配を感じたら、すかさずオチを考えるのが関西人。昨日も寒かった理由について、話のオチを考えてしまう。
相手を楽しませて笑わせよう、という意識が心の底に根付いているからね。こうして他人とのコミュニケーションを円滑に進めていく能力を、作家の百田尚樹さんはこう言っている。
それは『雑談力』とのこと。
その雑談力について書かれた百田さんの新書を読んだ。
『雑談力 ストーリーで人を楽しませる』百田尚樹 著という本。
百田さんは編集者と書籍の打合せをするときや、放送作家として番組の構成を打合せするとき、雑談で笑わせたり感心させたりすることが得意らしい。
「なぜ百田さんはそんなに面白い話を、いつもできるのですか?」と編集者等に訊かれるそう。そこから話が始まり、どうせならそのノウハウについて本にしませんか? ということでこの本が完成されたとのこと。
この本は実際に百田さんが編集者たちに話しているネタもいくつか書かれているので、それを読むだけでめちゃ笑ってしまうし、とっても勉強になる。百田さんが40歳のころにウンチを漏らした話なんか、笑いすぎて大変だった。
どうしてそのようなネタを仕込んでいくか? インプットはどのように心がけるべきか? というような内容が詳しく書かれている。
それだけでなく、それをどのようして相手に伝えるか、ということも丁寧に述べられている。つかみの大切さや、オチに持っていくまでのテクニックについても書かれている。
そんな雑談力を強化するうえで最も大切なことは、「人を楽しませたい」という気持ちだ、と百田さんは明言されている。
これは雑談力についての本だけれども、同時に百田さんがどのようにして小説を書いているかの本でもある。作家として読者を楽しませる能力は、雑談力と同じものが要求されるとのこと。
そういう意味でとでも勉強になったし、人とのコミュニケーションの大切さを痛感することができた。ちょっと面白いネタを仕入れるという意味だけでも、読む価値のある本だと思う。
百田さんがこういうノウハウを持たれているのは、もちろん作家としての高い能力が生まれつき備わっているからだろう。でも決してそれだけではないと思う。
関西で生まれ育ち、放送作家としてもずっと大阪で仕事をされてきた百田さん。関西という土壌があったからこそ、そのような雑談力が身についてきたのだと思う。それは同じ関西人として、とてもよく実感できる。
けれども、どんなことにも個人の能力差はある。関西で生まれ育ったからといって、簡単に高い雑談力を示せるわけではない。正しい方向とノウハウを知らなければ、空回りしてしまうことになる。
だから関西人であってもなくても、とてもためになる本だと思う。そして最終章に書かれている、百田さんの本音についてもぜひ読んでほしい。とてもシリアスな内容だけれど、真実とは何か、ということについて考えさせられる。百田さんらしい、気持ちのいい本だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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