元祖『わろてんか』
今日から秋の空気になるとの天気予報。たしかにカラッとした雰囲気はあるけれど、まだまだ残暑がいすわっている。彼岸花があちこちに咲き出しているから、もういい加減に夏は消えて欲しいんやけれどな。
残暑に文句を言いつつ、午前中は買い物に出かけ、午後一番には大河ドラマの録画を見た。いよいよ戊辰戦争が近づいてきて、ドラマは明治政府の始まりを経て、クライマックスの西南戦争へ突き進むのだろう。
同じく欠かさず録画して見ているのがNHKの連続ドラマ。『半分青い』も終盤が近いよね。20代のころを最後にNHKの連続ドラマは見ていなかったんだけれど、最近になって復活している。そのきっかけとなったのが『わろてんか』という作品。
吉本興業の創業者である吉本せいをモデルにしたドラマで、興味を持って見はじめたら止まらなくなってしまった。それで吉本せい、という人のことを調べると、本当に激動の人生を送った人だと知った。
そこで同じような物語がないかと探したところ、この小説に出会った。
『花のれん』山崎豊子 著という小説。1958年に単行本が出版されているので、ボクが生まれる前の作品になる。だからこちらのほうが先輩なので、「わろてんか』の元祖のような作品だろう。山崎さんの小説は『大地の子』を読んだことがある程度で、この『花のれん』が著者の直木賞受賞作だとは知らなかった。
主人公の名前は河島多加で、『わろてんか』の北村てんと同じ人物。同様に大阪の寄席を背負っていく人物になるけれど、その人生はかなりちがう。この小説の多加のほうが、モデルの吉本せいさんに近いように思う。
てんちゃんも大好きだったけれど、この多加さんは本当に魅力的な人物。商売に対する嗅覚と行動力、そして成功への執念はすさまじい。ここでは書かないけれど、感心するようなエピソードがいくつもある。おそらく吉本せいさんの実話も含まれているかと想像する。
だけど『わろてんか』との共通点もあって面白い。潰れかけの寄席を買い取って始めたエピソードや、冷やし飴を氷の上でゴロゴロ転がすというシーンを読むと、思わず葵わかなさんの演技を思い出してしまった。
『わろてんか』の風太にあたる人物はガマ口だろうし、トキにあたる人物は『花のれん』ではお梅だろう。『わろてんか』の月の井団吾なんか、桂春団治なのはすぐにわかった。つい『わろてんか』と比較してしまうので、ちがう意味で楽しむことができた。
今や吉本興業といえば、知らない人はないほどの大企業。特に関西に生まれ育ったボクたちにとって、吉本という名前は生活に溶け込んでいる。ちょっと面白い友人がいたら、「吉本に行け!」というのが子供のころの常套句だったからね。
それほど創業者の吉本せいさんが、すごい人だったんだろう。『わろてんか」ファンのボクにとっては、まるでパラレルワールドを見るような気分で楽しめた小説だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
関大卒さん、コメントありがとうございます。
いつも言っていますが、ご自分で経験したことに関して質問してください。
騙されたとか、怖いと感じるのは、主観的要素です。法律のある世界じゃないのですから。
同じ経験をしても、人によって感じ方が違います。あなたがどう感じるかは、あなた次第です。人の意見は関係ありません。
高羽そら先生お久しぶりです。
実は夢体脱を多くしている先生にしか聞けないのですが夢に出てくるガイドや登場人物に騙されたり、怖い目に合わされたことはありますか?
昔の明晰夢の本で夢の人物は嘘をつくようになり、生きている人間以上に注意しなければならないと書いてありました。まだ未熟な自分としてはそら先生の体験からそういったことがあったかを教えて頂きたいです。
そら先生の著書には嘘をつかれたり騙されたりした記述はなかったので人によるのかと思ってはいるのですが…