逆から見ればわかること
誰だったか忘れたけれど、ラグビーW杯の試合観戦方法で興味深いことを書かれていた。
日本代表の試合を録画しつつ、必死で応援する。そして試合の結果に関わらず、今度は相手チームを応援している立場で試合を見るそう。
すると日本を応援していたときに見えなかったことがいくつもわかるとのこと。相手チームの応援によって、日本代表の強さや弱点が見えてくる。そして相手チームの素晴らしいところに気づいたりする。
手間がかかるけれど、素敵な方法だよね。これは散歩している道でも同じことを感じる。まったく同じ道でも、往路と復路では見える世界がちがってくる。方向を変えるだけで、見落としていたことや新しい気づきに出会う。
まさにそんな発想をそのまま映画にした作品がある。ちょうどハロウインの時期なので、久しぶりに鑑賞した。
『アダムス・ファミリー』という1991年のアメリカ映画。数え切れないほど観ているけれど、何度観ても爆笑する。今日も涙をこぼしながら笑い転げてしまった。今年の10月にアニメ作品も公開されているらしい。
ボクのお気に入りのシーンは、このファミリーの子供であるウェンズデーとバグスリーの学芸会の場面。二人で斬り合いのお芝居をしながら、舞台と会場を血しぶきで埋めてしまう。腕が飛んだり、首から血を吹き出したりする。とにかく観客の驚いた顔を見ているだけで笑える。
この映画を観ると、いつも必ず感じることがある。アダムス一家は一般人と常識の概念が180度ちがう。子供たちの遊びと言えば殺し合いごっごだし、母親は中途半端な武器を使っていると叱る。
悲しいことやおぞましいこと、そして苦しみこそが至上の喜びであり、幸福に対する概念が完全に逆転している。学校の教育方針とは相容れないし、社会情勢に対する感覚もちがう。だからこそこの映画は面白いし、強く感じるものがある。
逆の視点から見ることで、いかにボクたちが常識に縛られているかがわかる。そのことを思い知らされて、いつもハッという気分にさせられる。この映画はコメディでありながら、実はかなり奥深いものを観客に提示している。
この映画を観ると、多様性という言葉の意味を真剣に考えてしまう。自分の概念とはかけ離れていても、相手の生き方を尊重することが大切だと思い知らされる。この映画での本当の悪役は、善意をよそおって世間の常識を押し付けてくる人間の強欲だということ。
普通じゃないことは悪ではない。そのことをコメディにすることで、本当の多様性を表現した映画だと思う。まぁ、そんな理屈抜きで面白いんだけれどねwww
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