シンプルゆえ本気で怖い
映画で人間に恐怖を疑似体験させるなら、複雑な設定はさけた方がいいと思う。物語を理解しようと理性が働くことで、感情が抑制されてしまうから。
それゆえホラーやパニック映画にはある種のパターンがある。ただひたすら恐怖の感情を刺激するために、シンプルな恐怖を次々と畳みかけてくる。だから少々無理のある設定も気にならないwww
そういう意味で成功したパニック映画を観た。
『クロール -凶暴領域-』(原題:Crawl)という2019年のアメリカ映画。あまり期待せずに観たけれど、シンプルゆえに本気で怖いと感じさせる作品だった。
映画の舞台は超特大のハリケーンが近づいているフロリダ。主人公のヘイリーはフロリダ大学の女子学生で、水泳の能力で奨学金を得ている。だけどスランプが続き、このままでは奨学金が打ち切られるかもという不安を抱えていた。
彼女がスランプになった理由は、ずっとコーチをしてくれた父と離れたから。ヘイリーの姉が結婚して独立、そして彼女が大学へ進学するのを待っていたかのように両親が離婚した。それ以来、父は引きこもりのようになってしまったから。
練習を終えたヘイリーは姉から電話を受ける。父と連絡が取れないとのこと。ハリケーンの進行方向に父の家があるので、心配で電話をかけてきた。それでヘイリーは父の自宅へ向かうが、愛犬を残したまま父は留守にしていた。おそらく父が向かったのは、家族4人で暮らしていた昔の家。
そこは湿地に面した家で、ハリケーンが直撃する場所。それで父を心配したヘイリーは、懐かしい昔の家へ向かうというのが基本的な設定。そして想像どおり、そこには父がいた。だけど地下室で大怪我を負って倒れていた。
その犯人は巨大なワニ。
フロリダの湿地帯にはワニが生息している。『CSIマイアミ』という海外ドラマでは、湿地帯でワニに殺された遺体が見つかるという事件がよく扱われていたほど。だからボクは、この時点でかなりビビっているwww
ここからエンディングまではひたすらワニ、ワニ、ワニ。まさに『ワニワニパニック』のゲームのような状態。タイフーンによる雨で、ヘイリーと父は地下室に閉じ込められてしまう。水の量は増えるばかりだけれど、いつワニに襲われるかわからない。
とにかくエグい。ハリケーンに紛れて略奪をしていた若い3人は、あっという間に血の海。ヘイリーの友人である警察官も、昔の家へ向かった彼女を心配してボートでやってきた。だけどヘイリー親子を発見した直後、ワニに食われてしまう。
どうにか家を脱出してボートに飛び乗ったヘイリーと父と愛犬。ところが堤防が決壊することで、再び二人と一匹はワニが大量に待ち構えている水中に流されてしまう。ひたすら暴風雨とワニが襲ってくるというシンプルな映画。もちろんヘイリーが水泳選手だということも伏線のひとつ。
結論から言えば、ヘイリー親子と愛犬は助かる。父は片腕をワニに食われちゃったけれどね。凝ったストーリーを楽しむ映画もあるけれど、パニック映画はひたすら感情的な恐怖に訴える作品がベスト。そういう意味では、この映画は大成功だと思う。マジで怖くてドキドキした。
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