今日のウィルバーくん 5.25
人間には好き嫌いがあります。どうしても好きになれない人や、どうしても納得できない状況があるものです。当然ながらそのように自分の意識と対立するものは、心のなかで共存することができません。自分にとっては必要ないもの、あるいは忌むべきものとして、意識の奥のどこかへ追いやってしまうことになります。
そうした無意識の対立軸を、ウィルバーは『影』と呼んでいます。その影の正体は、実はあなたが最も友人になりたいと望んでいるもの、と彼は言います。なぜなら本来すべてはひとつだったはずです。それを影として追いやり、自分との間に境界線を作ってしまったわけですから。いつかは取り戻す必要があります。
その影と接触するシンプルな方法は、意識して望んでいること、欲求していることの反対を仮定してみることである。ウィルバーはそう述べています。誰かを強く嫌っているなら、その人が好きな自分に気づく。誰かに恋したとしたら、その人のことをまったく気にしていない自分に気づく。対立する両方の感覚に気がついたとき、緊張そのものを生み出していた対立の戦いが消えるとのこと。彼の言葉を見てみましょう。
〜以下抜粋。
対立しているものは共存できない。したがって、もしあなたがそのどちらかに気が付いていないと、あなたは対立する一方を拒絶して、地下に追いやることになる。あなたはそれを無意識に沈めてしまい、そうしてそれを外部へ投影する。簡単に言えば、あなたは対立するものの間に境界線を引き、その戦いを生み出したのだ。しかしこれは勝利のない戦いである。苦痛のあと、常なる敗北が待っている。なぜなら、その二つの対立というものは、実際にはお互いの一面に過ぎないからである。
(中略)
影を探索し、追いやられた対立軸に接触し、投影を調べることで、自分自身の感情や心理状態に責任をもつようになる。あなたは、自分とほかの人との戦いが、ほとんどの場合、自分と、その投影された反対軸との戦いであることに気が付く。あなたは自分の症候が、自分を取り巻くさまざまな状況のせいではなく、実際には自分がまわりに対して本当にしたいことの、誇張された代替であるとして、自分が自分に対して行なっていることであるということに気が付く。
他人や出来事があなたを混乱させるのではない。それらは、あなたが自分を混乱させることの契機に過ぎない。自分が自分の症状を生み出しているのだ、ということに気がつくと、非常に大きな安心感がやってくる。なぜなら、それは自分でそうした症状を止めることができることを意味するからだ。それには症状を最初の形態に変換すればよい。あなたは自分の感情の原因となるのであり、その結果に操られることはなくなるのである。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『無境界』より。
人生で起きる対立は、自分が押し込めた影が投影されたもの。実にシンプルでわかりやすいと思いませんか?
自分の不幸や不運を、他人や社会のせいにするのは簡単です。でもそれでは、自分が追いやった影といつまでも和解することができません。永遠に対立を繰り返すだけになります。そんな人生を想像すると、途方に暮れてしまいます。
勇気を出して自分の影に向きあう。それはどこにあるのか? 私たちが毛嫌いしていたり、避けているもののなかに見つかるはずです。それらを自分自身が追いやっていた影の投影だと意識するだけで、何かが変わってくるでしょう。ウィルバーはそのことを伝えたいのだと思います。
最新刊の『永遠なる玉響 上巻』はBOOK☆WALKERのみでの販売です。こちらから購入できます。
『ゼロの物語』3部作は電子書籍のみの販売となりますので、こちらのホームページから販売サイトに行ってくださいね。
『STORY OF ZERO BOOK Ⅰ 〜ENCOUNTER〜』は全世界のAmazonで配信中です。日本のAmazonはこちらです。
『夢で会える 体外離脱入門』は在庫僅少ですので、お求めの方はハート出版さんや書店に問い合わせてください。Amazonでの注文はこちらです。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする