SOLA TODAY Vol.457
本が売れないと言われる現状では、バズらせることは必須となっている。それは本に限らず、あらゆるものに共通していると思う。
バズらせかたには、様々な方法が考えられる。ネットでの炎上だって、使いようによっては売りたい商品がバズるきっかけになる。これからの時代コンテンツをバズらせるためには、創作者を含めた関係者すべてがその法則を理解することが求められているのだろう。
だけどその法則とは?
社会心理学の教授が、そのヒントとなるような研究結果を発表している。
選挙カーの名前連呼って、本当に効果あるの? ⇨教授が実際に研究してみた結果…
先月に総選挙が実施され、いつもながら選挙カーが候補者の名前を連呼して走っていた。果たしてその行為に効果があるのか?
関西大学の教授が、2015年に行われた赤穂市長選挙に密着してデータを集めた。それがどのようなものだったか、記事から抜粋してみよう。
『1人の男性候補者に「密着」しました。大学院生がこの候補者の選挙カーに1週間同乗させてもらい、10秒ごとの位置情報に加え、連呼の有無を含む選挙カーの移動や、街頭演説、個人演説会などの活動内容を分単位で記録しました』
『また、無作為に選んだ有権者2千人に住所や投票先、各候補者の好感度などを尋ねる調査用紙を送付。約900あった回答から、候補者の選挙活動がどのような影響を与えるのかを分析しました』
というような内容。そこから得られた膨大なデータを分析して論文にまとめるのに、1年以上かかったとのこと。その結果は、なかなか興味深いものだった。
選挙カーが自宅の近くまで来た場合、その候補者に投票した割合は平均の2倍になった。自宅から1キロ以上離れた場所のときは、投票する割合が6分の1になった。
面白いのは選挙カーが近くを走ったからといって、その候補者の好感度が上がったわけじゃない。まったく影響はなかったらしい。ところが明らかにその候補者に投票する人が増えるという結果が出ている。
あのやかましい選挙カーは、それなりに効果があるということだよね。この事実を見ると、人間心理の複雑さを感じる。好感度に影響はないのに、候補者の名前が連呼されるのを耳にすることで、思わず投票してしまう人がいるということ。
人間というのは、無意識でも認知したことに反応するのだろうか? だとしたら、大声で自己主張するほうが有利だということ。好感度を高めることができなくても、大勢の人に認知されることで他人に影響を与えることができる。
そういえばキングコングの西野さんが、創作した絵本や本をベストセラーにしたとき、無料で誰でも読めるようにしたり、全国の図書館に寄贈するということをやっておられた。無料なのに売れるの? というのが常識に囚われている人の疑問だと思う。
でもそれがベストセラーになるのは、この選挙カーと同じような効果があるのかも。とても参考になる、興味深い記事だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。