SOLA TODAY Vol.482
世間はクリスマスイブだけれど、新しい１年を迎えて大きな不安を抱えている人がいる。
労働法の改正による「2018年問題」というものがあることで、生活の基盤を失っている人が出てきているという記事。
3カ月更新の契約で17年、突然の「雇い止め」 58歳派遣社員の思いは
この記事に登場するのは58 歳の契約社員の女性。これまで17年間ものあいだ、３ヶ月更新をくり返してシングルマザーとして二人の子供を育ててきた。
ところが今年の10月になって派遣会社の社員に呼ばれ、勤めている会社が契約解除を申し入れてきたと告げられる。いわゆる「雇い止め」というもので、今年の12月からこの女性は仕事を失うことになる。
その背景にあるのが労働法の改正。皮肉にも「雇い止め」をなくすための法律だった。その改正を記事から抜粋してみよう。
『労働契約法は、「有期雇用」でも「同じ勤務先で契約を更新しながら、通算5年以上働いてきた」などの条件を満たせば、2018年4月からは雇用期間に期限のない「無期雇用」への転換を企業に申し込めると定めている。「無期雇用」への転換を本人が希望すれば、企業側は拒めないことになっている』
来年度からこの法律が適用されるために、今のうちに契約社員の契約を解除しようという動きが進んでいる。これが「2018年問題」と呼ばれている。もちろんいい意味での改革も進んでいる。大手企業では有期雇用の社員について、無期雇用への転換を考えている会社が６割になろうとしている。
契約社員の人にとって、今年から来年の４月にかけては、自分の運命が決まる時期だと言っていい。この記事の女性の場合は、「雇い止め」の対象になってしまったということ。
彼女は40代のころから自分のスキルを認めてもらうために、10以上の資格を取った。それなのに会社が一方的に契約を打ち切ったことに憤りを表明している。気の毒には思うし、その気持ちもわかる。
だけど客観的にこの記事を読んで、ボクは同情する気持ちは感じなかったし、会社に対しても非難する気持ちが起きなかった。言い方は悪いけれど、やはりこの女性の時代感覚がどこかズレていると思ってしまう。
今や仕事はロボットやAIに奪われていく時代。企業にとって人件費は多大なる負担であり、少しでも削減していきたい。だからこそ本当に必要な人だけを確保したいというのは当然。
つまりその会社にとって、この女性はそこまでの必要性を感じなかったということ。厳しいけれど、この現状を受け入れるしかない。企業経営はボランティアじゃないんだから。会社にとって本当に必要な人間なら、なんとしてでも残すために労力を使うはず。
資格のことを述べられているけれど、今の時代資格なんてクソの役にも立たない。弁護士や医師の業務だってAIに奪われる時代になってきた。どのような資格を持っておられるのかわからないけれど、よほど特殊で稀少で必要性の高いものでないと意味がない。
ボクだって資格はいくつか持っている。消防設備士、毒物劇物取扱者、日商簿記検定２級、珍しいところでは家畜人工授精師という資格まで持っている。若い頃に役に立ったことはあるけれど、今ではなんのメリットもない。小説のネタにはなるかもしれないけれど、資格なんて重視されない時代になっている。
この女性の感覚は、20年ほど前なら通用したかもしれない。だけど現代社会においては、かみ合う部分がどこにもない。それが現実だということ。
これからはこういう事例が増えてくると思う。今は過渡期だから、混乱が生じているのだろう。働くということや、お金に対する感覚が大きく変化している。こうした問題を解決するために、世界各国でベーシックインカムの実験が行われているんだからね。
変化と痛みが共存しながら、新しい仕組みが作られていくのだろう。この記事を読みながらそう思った。
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