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高羽そらさんインタビュー

一番悪いのは誰なんだ?

勧善懲悪という概念が、ボクはあまり好きじゃない。物語には多用されがちだけれど、どうしても子供だましのようなことになりがち。

 

むしろ何が悪で何が善なのかについて、どこかあいまいなほうが物語は面白い。善悪の観念なんて、元々があいまいだと思うから。

 

今日観た映画では、3人の男女が登場する。なかなか面白いストーリーで、最後まで必死になって観た。勧善懲悪的な終わり方をしたものの、あとから考えてみると一番悪いのは誰なのか悩んでしまった。

 

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『ダイヤルM』(原題: A Perfect Murder)という1998年のアメリカ映画。1954年に公開された『ダイヤルMを廻せ!』というヒッチコック映画のリメイク作品。シチェーションは似ているけれど、結末は少しちがうみたい。

 

その3人とは写真の男女。マイケル・ダグラスが演じるスティーブン、グウィネス・パルトロウが演じるエミリー、そしてヴィゴ・モーテンセンが演じるディビッドの3人。

 

スティーブンとエミリーは夫婦で、デヴィッドはエミリーの浮気相手。まずは3人の現状を確認しておこう。

 

スティーブン:会社を経営しているけれど事業に失敗して破産寸前。

 

エミリー:資産家の娘だけれど、夫に不満でディビッドと情事を重ねている。

 

デヴィッド:自称画家だけれど、正体は金持ちの女性を狙った犯罪者。絵は刑務所で習っただけ。金に困っている。

 

スティーブンは妻の浮気を知っている。でもそれをとがめることなく、デヴィッドに接触する。40万ドルという大金をやるから、妻を殺してくれと依頼した。妻が死ねば1億ドルを相続することになるので、40万ドルなんて痛くもかゆくもない。会社も復活できる。

 

迷った末にデヴィッドは殺人を受ける。過去をバラされたら刑務所から出られない。そして金が欲しい。自ら手を汚すことを嫌ったデヴィッドは、別の人間に殺人を託す。

 

ところがエミリーともみ合った結果、依頼された殺人者は殺されてしまう。あわてたデヴィッドは逆にスティーブンを脅して金を手にしようとする。でも機転を利かせたスティーブンはデヴィッドを殺す。

 

そのスティーブンもエミリーに銃殺される。デヴィッドが殺人依頼の証拠を密かに送り、その事実を知ったエミリーが逆上。スティーブンに殺されそうになったところを、夫を返り討ちにしてしまう。

 

さてこの3人で一番悪いのは誰だとあなたは思う?

 

デヴィッドはエミリーを騙したワルで、彼女を殺すことまで決意した。スティーブンを脅しもした。だけど彼は誰も殺していない。

 

スティーブンはこの映画でもっとも悪い人物として描かれている。そう思われても仕方ない。最後に殺されたのがその証拠。たしかに会社を守るため、妻を殺そうとした。筋金入りのワルで、デヴィッドも殺している。

 

だけどエミリーは微妙な立ち位置にいる。この映画の死者は3人。そのうちの2人はエミリーが殺している。もちろん正当防衛だから罪にはならない。

 

でもデヴィッドに簡単に騙され、情事にふけっていたのは事実。今回の事件を引き起こした張本人と言ってもいいよね。彼女が普通に生活していれば、誰も死ぬことはなかったかもしれない。

 

とにかくよくできた映画だと思う。ヒッチコックの匂いが十分に残っている。映画を観終わって考えてみたけれど、一番悪い人間が誰なのかという答えは出せなかった。何を善悪の基準にするかによって、判断がちがってくると思う。

 

この映画を観て誰を悪人として指名するかで、その人が人生で大切にしているものがわかって面白いと思うなぁ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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