関西弁は消滅危機らしい
散歩中に神戸の小学生たちとすれちがったとき、なんとも言えない違和感を覚えることがある。
それは標準語を話している子供が多いこと。耳をすましていると、特定の子供というより全体的な傾向として標準語が飛び交っている。
そこで親子連れに注目していると、母親も関東の言葉を話している人が多い。なんでそんなことになるねん?
ボクのその感覚は、どうやら錯覚ではないらしい。
世界には6000から7000の言語が存在していて、そのうち2500が消滅危機にあるそう。日本ではアイヌ語、八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語という8つの言語が消滅危機になっている。
それに加えて、どうやら関西弁、つまり大阪弁の消滅危機が危惧されているらしい。この記事によると、若い世代を中心に大阪独特の言葉が消えつつあるそう。う〜ん、これは見過ごせない問題だよね。
言葉というのは文化そのもの。関西弁と一口に言っても、大阪弁とボクが生まれ育った京都ではちがいがある。これは住んでいる人間にしかわからないだろう。ボクたちの世代だったら、話している相手の出身が大阪か京都か滋賀というちがいを聞き分けることができた。
だけどいまの世代なら、もしかすると地域別の聞き分けは難しくなっているかも。京都の芸舞妓が使っている京ことばは独自の雰囲気を持っているけれど、あの言葉を使う人も確実に減っている。
舞子さんだって京都以外の人が多いから、ボクが祇園で働いていたときも本来の雰囲気が崩れているように感じていた。言葉は生き物だから変化は仕方ない。だけど日本全国が標準語に統一されてしまうのや嫌だなぁ。
言葉が持つ独自性というのは本当に凄い。『探偵ナイトスクープ』という関西の人気番組がある。ボクがまだ20代のころ、その番組で面白い研究が報告されていた。
それは『アホとバカの境界線』というもの。
相手に対する親しみや愛情を込めた言葉で、関西では「ほんまアホやなぁ〜」という言い方がある。これはディスっているのではない。
同じニュアンスが関東になると「お前はバカだねぇ〜」となる。『男はつらいよ』という映画でおいちゃんが寅さんによく言っていた言葉。これも愛情の裏打ちがある言い回し。
でも関西の人間が『バカ』だと言われるとカチンと来る。喧嘩になりかねない。逆に関東の人も『アホ』と言われたらムッとするだろう。この『アホとバカの境界線』がどこになるか?
なんとそれは西暦1600年に天下分け目の合戦があった関ヶ原付近とのこと。これだけでも言葉が文化だということがよくわかる。
関西の子供たちに標準顔が広がっているのは、やっぱりネットやテレビの影響かな。すでにいまの子供の親世代にもその影響が出ているんだろうね。だけど絶対に関西弁をなくして欲しくない。
小さな子供が関西弁で話していると、本当にかわいいよ。言葉をなくすことは文化を捨てること。絶対にやっていはいけないと思う。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
『第1回令和小説大賞』にエントリーした小説を無料で読んでいただくことができます。くわしくはこちらからどうぞ。