AIは思考を取り出せるか?
文章を書くという行為には、様々な工程が含まれている。頭の中で考えたことを言語化して、適切な単語を選ぶ。それを手の神経に伝えることで、キーボードを操作する。そうしてようやく文章にすることができる。
だけどもし、頭の中で考えるだけでAIが文章を書いてくれたら?
著名な作家が口述筆記をしているのを聞いたことがあるけれど、こんなAIがあれば口述筆記よりも楽チン。頭のなかで文章をイメージするだけでいいんだからね。
まるでSF世界のようなことだけれど、これに近いことが成功しているそう。
頭で考えてることが文章化される。脳波を文章に変換するAIが登場
この研究成果はアメリカのカリフォルニア大学が発表している。くわしくはリンク先の記事にゆずるけれど、簡単に説明しておこう。
ある文章を読ませて、その人の脳波を記録する。それを何度もくり返すことで、そのデータをAIに学習させる。そしてその脳波と文章を紐づけすることによって、頭で考えたその文章をAIが取り出すことに成功したというもの。
まだ完璧ではない。それでもエラーの比率が3%くらいにまで抑えられているらしい。もっとデータを増やせば、さらに精度が高くなるだろうと考えられている。すごいことができる時代になってきたよね。
この記事に関連するコメントを見ていると、称賛の声と同じくらい不安を表明する人もあった。機械に頭のなかを読み取られ、プライバシーが侵害されてしまうのではという不安。
でもボクはそう思わない。人間の思考はそれほど単純じゃない。なぜそう思うかといえば、小説を書いているから。
小説というのはフィクション、つまり嘘。頭のなかで架空の世界を思い浮かべて文章化している。だから脳内で言語化したものが事実だとは限らない。人間というのはいい意味でも悪い意味でも嘘をつく生き物だから、AIにそのちがいを見分けることはまだ無理だと思う。
この記事を読んだだけでの感想なんだけれど、AIが学習しているのは人間が文章を言語化するときの脳波をとらえているんだと思う。要するに出口調査をしているだけで、その言葉を生み出した思考まで読み取っているわけじゃないと思う。
そもそも人間は、自分に対してさえ嘘をつく。現実の直視を避けるため、事実や記憶まで歪曲してしまうことは多々ある。自分に嘘をつくことができる人間に対して、AIがその嘘を見抜くことは不可能だろう。だから頭の中身が見られることなんて、いまのところはありえない。
ただこの技術は医療的な価値が高いと思う。言葉を話せなくなった人が、家族や友人に自分の意思を伝えることに応用できる。その内容が事実であれ嘘であれ、本人の意向を文書化できることは素晴らしい。早く実用化できるようになればいいよね。
ワードプロセッサーならぬ脳プロセッサーが実用化されたら、小説を書くのが楽になりそうだなぁwww
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