日本も二重国籍を認めよう
先日、テニスの大坂なおみ選手の準決勝棄権が話題になった。その理由は白人警官が黒人を背後から銃で撃ったこと。結果として試合の主催側が事件に関して危惧を示し、期日を延長したことで大坂なおみ選手は試合に出場した。
彼女が怒りを覚えた理由は明らか。日本人であるだけでなく、ハイチ人である黒人の血も流れているから。そんな彼女の名前がタイトルになった記事が目についた。内容は二重国籍に関するもの。
大坂なおみも注目…「日本国籍を剥奪された人たち」の裁判の行方
くわしく知らなかったので、とても勉強になる記事だった。日本の法律では二重国籍が認められていない。そのことは理解している。以前野党の女性政治家が、二重国籍を指摘されて問題となったことがあったから。
その根拠となるのは国籍法11条1項で、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」というもの。この法律によってノーベル賞を受賞した中村修二さん、そして作家のカズオ・イシグロさんは日本国籍を失った。
ただしこの法律が制定されたのは、なんと明治時代。そのときから検討も改正もされず、いまだに二重国籍否定の根拠とされている。他国に比べて民族問題が大きなトラブルとなっていない日本ならでわの法律だろう。
なぜなら二重国籍を認める国が世界では主流だから。リンク先の記事によると、2015年の時点で132カ国が二重国籍を容認している。アメリカ、イギリス、フランス、イタリアもそう。国連加盟国の75%が容認している。つまり日本は明らかに少数派だということ。
だけどグローバル化が進む現代社会において、その日本の法律が弊害を起こしている。ビジネス上の問題で、外国籍を取得する必要がある。なのに先ほどの条文を知らなかったことで、いきなり「あなたは日本人ではありません」と言われる。パスポートの更新を申請すると、穴を開けらてしまうそう。
逆にアメリカやスイスで国籍取得を申請しても、日本国籍があることを否定されない。ということで、日本国籍を剥奪された人が裁判を起こしている。先日に結審して、来年の年明けには判決が出る。
おそらくその判決に注目している人たちは多いはず。もしかしたら大坂なおみ選手もその一人かもしれない。彼女は東京オリンピックに日本代表として出場することを明言した。そして日本国籍を選択した。
だけどこの記事によると、まだアメリカ国籍も残っている可能性が高いそう。アメリカの場合国籍離脱をすると、収入に応じた多額の罰金を課せられる。人的資産を海外に流出させないため。だから大坂選手の場合、かなりの罰金を支払うことになる。それゆえ現在は二重国籍の状態だと推測されている。
実はこのあたりが日本政府も曖昧らしい。大坂なおみ選手の現状をチェックして、彼女の日本国籍を剥奪するという行為に出ていない。そんなことをすれば大騒ぎになるだろう。つまり黙認している可能性が高い。
それなのに、先ほどのように日本のパスポートを没収される場合だってある。そのあたりは外務省の担当者によって微妙にちがうらしい。職員によっては暗黙的に二重国籍を認めている場合も多いらしい。だからパスポートを黙って更新してくれる。
もしかしたら日本政府はいまごろになって、優秀な人材が海外へ流出していることを危惧しているのかもしれない。だから明治時代の法律に固執していることに反対する動きもあるんだろう。
性別でさえ多様化が認められつつある時代。だから国籍だって多様性があってもいいように思う。イギリス人であり、同時に日本人なんてカッコええやん。いよいよ日本も二重国籍を認める時代になってきたのかも。とりあえず裁判の結果が気になるよね。
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