人間の本質は排他主義かも
ちょうどいま、テレビでは東京オリンピックの聖火リレー出発式典が生中継されている。海外の観客を入れないことに決まり、150億円の経済損失だといわれているけれど、式典を見ているとオリンピックの開催がようやく実感できる。
ただ平和の祭典であるはずのオリンピックだけれど、根底には国家間の競走という排他主義が隠れている。選手は国を代表して選ばれるし、団体競技だと選手個人よりも国と国との戦いという印象のほうが強い。
ボクだって試合を見ていれば、当然ながら日本チームを応援する。いま開催されているフィギュアスケートの世界選手権だって、つい紀平梨花ちゃんの結果に注目してしまう。そしてロシア勢に負けるな、と応援してしまう。
スポーツでさえそうだから、命に関わる問題になるとこうした人間の排他主義が一気に表面化してくる。いま欧米で起きているアジア人に対するうヘイトクライムがまさにそう。
日本人がヘイト被害にあうリスク──データにみる他のアジア系との比較
今月の18日に起きた銃撃事件がアジア人に対する人種差別かどうかは明確ではない。ただ被害者の多くがアジア人だったことで、新型コロナによるパンデミックを契機にして続いているアジアバッシングとして報道されていた。
アメリカに在住しているアジア系の人は、自分のルーツを思うことはあっても基本的にはアメリカ人だと意識しているはず。なのにアジア系というだけで、同じアメリカ国民が暴力を受けている。
リンク先の記事によると、昨年の3月から今年の2月までに、アジア系に対する嫌がらせが3785件も報告されている。泣き寝入りしているケースを含めたら、もっと多くの事例があるはず。
そのうち中国系の人の被害が40%で、日系人の被害は7%とのこと。きっかけになっているのは新型コロナの発症とされている中国系に対するヘイトクライムだろうけれど、欧米の人に中国人と日本人の区別はつきにくい。だから海外に在住している日本人は、いつどこで暴力を受けるかわからない状況だろう。
アメリカでアジア人に対する攻撃が最も多いのはカリフォルニアらしい。全米でアジア系の移民が多い地域だからとのこと。だからといって他の地域が安全ということじゃない。これはアメリカに限らずヨーロッパも同じ状況。
たとえば日本と友好国に思えるイギリスでも、日本人に対する差別意識は確実に存在する。イギリスの音楽レーベルでメジャーデビューしたリナ・サワヤマは、幼いころからイギリス暮らしなので永住権も取得している。なのに国籍が日本だというだけで、音楽賞のノミネートから外されていた。
彼女の抗議や支援者の活動によって、ようやく最近になってルール改正がされたという状況。イギリス在住の日本人によると、高齢者のなかには第二次世界大戦中のことで日本人を嫌っている人が意外に多いらしい。
だけど新型コロナにしても音楽賞にしても、それられはきっかけでしかない。他人種を差別したり暴言を吐くのは、人間の本質に存在する排他主義のような気がする。たまたま白人が世界をリードしてきたことで、黒人やアジア人が差別の対象となっているだけ。
もし人種の勢力図が逆転すれば、白人が差別の対象となる世界がやってくるかも。人間の心に巣食っている排他主義を多様化の受容へと昇華しない限り、いつまでも同じようなことが起きるとしか思えない。悲しいことだよね。
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