有事対応は発生前が鍵
日本人は『有事』という言葉を縁遠く感じる人が多いだろう。『有事』が指し示しているのは国家間の紛争だけれど、いまの日本人にはコロナ禍が最大の有事だと思う。
だけど真の意味での『有事』は、確実に日本へと迫ってきている。そんなことはありえない、という楽観的な想いが事実を無視しているだけ。実際、第二次世界大戦直前のヨーロッパでも、そして太平洋戦争直前の日本においても、一般的には戦争なんて起きないだろういう風潮だった。
現代社会における有事の兆候は、国家による情報の統制や遮断から感じられる。国家が国民に対してなんらかの意図的な思想統制を行う場合、外国の情報を遮断する必要があるから。それだけにこのニュースは不気味。
香港においては、中国本土では使用できないFacebook等のSNSが許可されている。だけど過去の香港はすでに消えつつあり、中国政府による香港の意図的な改ざんが強行されている。だからいずれ香港のSNSに規制がかかるであろうことは予想された。
表向きの理由としては、民主派と親中派が言い争うことで、ネットでの個人情報拡散を防止するため。つまりこうした情報の拡散を見逃している企業に対しては罰則を課しますよ、という方向性が示唆されているらしい。こうなると企業が自主的に香港からの撤退を検討しなくてはならない。それを狙っているのだろう。
すでに香港は手遅れ。中国政府も勝利を確信しているはず。そしてその視野の先にあるのは、いうまでもなく台湾。先日に中国共産党100周年の式典において、習近平氏は台湾の統合を明確にした。日本において懸念される最大の『有事』は、まちがいなくこの台湾問題。
もし中国政府が強硬手段に出れば、アメリカは黙っていない。必然的に日本も対応を迫られることになる。だけどそのときになってから考えていたのでは、中国政府の思う壺だろう。有事対応は、発生前にどれだけ準備しておくかが鍵。
だけど日本政治家にも、そのことを理解している人がいた。
ここまでハッキリと公式見解を述べた政治家は他にいないだろう。失言等で何かと世間を騒がす麻生さんだけれど、ここまで言い切ったのは素晴らしいと思う。この発言によって、日本政府としては台湾問題に対して真剣に対応していることを感じられるから。
もちろん何も起きないほうがいいに決まっている。だけどこうした問題に関する楽観論は、単なる気休めにしかならない。最悪の事態に備えて準備をすることは、決して戦争を肯定することじゃないと思う。楽観論に支配されて傍観しているほうが、国民にとって不利益となるのは明らか。
そういう意味において麻生さんの発言は、平和ボケの人たちに喝をいれることになるだろう。昨日、中国政府はこの発言に対して正式に謝罪を求めてきた。それこそが麻生さんの求めたことのような気がする。議論が活発化することで、有事に対して人々の目が向くことになるから。賛否含めて、与野党はこの問題について真剣に議論するべきだと思う。
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