ストーカー心理で犯罪抑止
ストーカーが怖いのは、自分勝手に対象人物と懇意だと思い込んでしまうこと。ろくに話したこともないのに、まるで恋人のようにふるまう。だから相手につれなくされると、逆ギレして暴力に及ぶことになる。
このストーカー心理は犯罪者だけに見られるものではなく、誰もがそうした傾向を持っているそう。
人間の本能として、「情報の対象性を錯覚する」というものがあるらしい。わかりやすく言えば、「他人のことを知ると、他人も自分のことを知っている」と思い込んでしまうという心理。
著名人を対象としてストーカーが多いのは、そうした人物の情報がよく知られているから。テレビやSNSを見ることで著名人の情報を得る。と同時に、相手も自分のことを同じように知ってくれていると錯覚する。その錯覚が妄想にまで至ると、ストーカーということになるのだろう。
そのストーカー心理を応用して、アメリカでユニークな実験が行われた。
”ストーカー心理を逆に利用” 警察官の個人情報を知らせるだけで犯罪率が減少した!
タイトルだけで内容がわかってしまうリンク先の記事。シカゴ大学の研究で科学誌に発表されたもの。最初は「情報の対称性を錯覚する」ということについての研究だった。
結論だけを言えば、『被験者たちは情報を知った他人に対して馴れ馴れしく振る舞うようになり、同時に嘘の発覚を恐れて正直に接するようになり、バレずに不正が可能な場面でも不正行為を行わなくなりました』とのこと。
この結果を受けて、犯罪抑止になるのではと研究チームは考えた。そこでニューヨーク市警の協力を得て、ある地域に勤務する警察官の個人情報を記したカードを配布した。といっても、その人の特徴や好きなものを書いた程度のものらしい。
するとたった3ヶ月で、その地域の犯罪率が5〜7%も減少したとのこと。少ないように見えるけれど、この数字を実際に達成しようとすればかなりの時間と労力が必要らしい。
ところが面白いことに、そのまま3ヶ月放置すると元の犯罪率に戻った。だから定期的に情報を上書きしていかないと効果はないみたい。だとしてもストーカー心理を応用することで、犯罪率を減少できるなんてユニークだよね。
リンク先の記事でも触れているけれど、人間は匿名だと罪を犯しやすい。ネットで誹謗中傷が起きるのは、匿名性が高いから、だけど自分のことが知られているように感じることで、匿名性が希薄になってしまう。そうなると人間は正直になり、不正行為を避けようとするのだろう。
つまり誰かに関心を持ってもらうなら、まずその人に自分を知ってもらうといいのかも。これは恋愛でも、仕事上の取引でも同じ心理が働くと思う。相手の関心をひこうと質問責めにするのは、かえって逆効果だということだろうね。
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