戦争の恐怖を実感できない人へ
今日の国会において、ウクライナに侵攻したロシアに関する非難決議が衆議院で採択された。即時の攻撃停止と撤収を要求している。
ところが全会一致で採択されないというニュースを見て驚いた。反対する議員がいることに唖然とした。賛成しなかったのは、れいわ新撰組の3人の議員とのこと。ネット記事の断片しか見ていないので、その3人が賛成しなかった理由はわからない。何が言い分があるんだろう。
だけどこれは政治イデオロギーの問題じゃない。戦争という恐ろしい行為に対する非難であって、普段から与党に反対ばかりしている他の野党でも賛成している。できることなら日本の国会議員の意思として、全会一致で非難決議を採択してほしかった。
戦争がどれだけ悲惨なことなのか、ボクたち戦後生まれの人間は実感できない。そのことに感謝するべきだろう。だけど戦争という行為がどれだけ無意味で、かつ悲惨なものであるかを、国会議員たるものが自覚していないのは理解できない。その人たちは、この映画を観たらどう感じるんだろう。
たまたまだけれど、今日ボクはある映画を観て戦争の恐怖を実感させられた。そしてすぐにウクライナで暮らす人たち、そして戦っている兵士たちのことを考えた。今日の国会で決議されたように、ロシア軍の即時の攻撃停止と撤収を本気で求めたいと感じた。
2022年 映画#30
『彼らは生きていた』(原題:They Shall Not Grow Old)という2018年のニュージーランド・イギリス合作のドキュメンタリー映画。『ロード・オブ・ザ・リング』を監督したピーター・ジャクソンが脚本と監督を兼任している。
この映画で取り上げられている戦争は第一次世界大戦。映像はすべて実写。保存されていたモノクロ映像をカラー化するだけでなく、読唇術によって兵士たちの会話を音声として再録音している。
それらの映像に合わせて、実際にこの戦争で戦った退役軍人たちのインタビュー音声が重ねられれている。その会話の内容に合わせた映像として編集されていて、生存した兵士たちの回想録のように感じられる作品だった。
戦争開始から終戦までが描かれている。イギリスの兵士たちを中心とした撮影で、フランスにおけるドイツ兵との戦闘映像が中心。実際の攻撃の様子や、戦死した兵士たちの映像も出てくる。それらの映像に合わせて語られるインタビューの内容によって、まるでタイムスリップしてその世界を体験しているような気持ちになる。
ラスト近くで捕虜になったドイツ兵とイギリス兵が、仲良く談笑しているシーンが印象的だった。どちらも戦争を望んでいない。捕虜となったことで、砲撃の音に怯えなくていいと答えていた。それが兵士たちの本音だろう。そしてその直後に終戦の報告があったとき、どちらの国の兵士も疲れた笑顔を見せていた。
きっと現在のロシア兵とウクライナ兵も、同じ気持ちだろうと思う。一部の報道によると、ロシア兵のなかには演習だと説明されて攻撃に参加していた兵士が多くいたらしい。だけど実際にウクライナ人を殺していることを知って、かなりショックを受けているとのこと。
本当に凄まじい映像だった。モノクロだと距離感があるけれど、着色されているだけにリアルに感じる。この映画を観ても、非難決議に反対した議員はその意見を変えないのだろうか? もしそうだとしたら、そんな議員に日本の未来を託すことは絶対にできない。
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