SOLA TODAY Vol.27
大都会は人が集まると同時に、スラム街のような場所を併せ持つことになります。そうした地域の犯罪を未然に防ぎ、より良い環境を取り戻すため、自治体は多額の税金をつぎ込んでいます。それでも効果が現れていないというのが現状です。
ところがアメリカのサンフランシスコで興味深い取り組みがスタートしています。
ツイッター本社の移転先は「治安最悪・危険地帯」。サンフランシスコのドヤ街テンダーロインがテック企業注目エリアへ?
サンフランシスコにテンダーロインというスラム街があります。治安最悪の場所で、ホームレスのシェルターが置かれ、低所得者用の住宅が立ち並び、路上生活者、売春婦、ドラッグ中毒者、ドラックディーラー等が昼間から徘徊しています。
ところが2012年にTwitterが本社をテンダーロインに移転しました。シリコンバレーに移転するつもりでしたが、サンフランシスコ市の思い切った決断がその理由です。それはテンダーロイン地区に移転する企業に対する優遇税制でした。年間100万ドル(約1億円)以上給与支払いをする大企業を対象に、新規社員の給与税支払いをむこう6年免除すると決定をしました。それでTwitterは本社をテンダーロインに置くことを決めました。同様に、大手の企業も追随して移転しています。
でもそれだけではスラム街の問題は解決しません。そこで新たなプロジェクトが組まれています。それが「Code Tenderloin(コード・テンダーロイン)」というものです。その最前線となっている人物が影の市長と呼ばれているデル・シーモアです。彼は元ホームレス、元ドラック中毒者、元ドラックディーラーという、まさにテンダーロインにぴったりの肩書きを持っています。
そんなシーモアが、路上生活者をIT企業に送り込むという計画を立ち上げます。それがコード・テンダーロインです。履歴書の作成や面接練習などをサポートして、スキルを身につけさせます。そしてテンダーロインに本社を置く企業に採用してもらえるよう持ちかけます。
就労準備が整った参加者には仕事を斡旋しますが、驚くべきことに、コード・テンダーロインがパートナー契約を結ぶ斡旋先の企業は、Zendesk(ゼンデスク)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Dolby(ドルビー)、Uber(ウーバー)、WeWork(ウィーワーク)さらにグーグルやマイクロソフト、ツイッターなどが名を連ねています。
大企業を呼び寄せて経済効果をもたらすだけでなく、雇用機会を創出するためのプロジェクトです。貧困層を街から追い出すのではなく、富裕層と共存できることを目指しています。職種は社員食堂での料理人や清掃職員などさまざまですが、これまで路上生活以外に選択肢のなかった60人以上を企業に送っているとのことです。
まだプロジェクトはスタートしたばかりなので、街から路上生活者が完全に消えたわけではありません。でも何かが起きつつあるのは確かなようです。わたしはこのような分離ではなく共存を意図した考え方が大好きです。世界中の自治体がモデルケースとして注目すべき方法だと思います。未来の都市計画の方向性として、かなり有効的な道を示してくれていると感じています。
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