諸行無常を痛感した
神戸の北野坂近くに、ボクの大好きなカレー店がある。このブログでも何度か紹介している。
今年になってバタバタしていて行けず、春になってメガネを作るときに元町にある支店に向かった。ところが年中無休のはずなのに、「本日休業」となっている。さらにメガネが出来たときにも同じく元町店に行くと、やはり休業。
これはただならぬことが起きている。気になって本店である北野店に電話を入れた。ところが誰も出ない。
妻が心配してネットで調べてくれると、ガセネタの可能性があるけれど、どちらかの店舗のご主人が亡くなったという記事があったらしい。もしそれが北野店のご主人のことだとしたら、あのカレーは二度と食べることができない。なぜならルーを作っているのは、その人だけだから。
それでようやく今日になって、妻とふたりで北野店の様子を見に行くことにした。開店前に訪れると、お店のドアは開いている。でも看板は出ていない。
そこで妻が尋ねてくれたところによると、本店の北野店はクローズするらしい。土日だけ元町店で営業しているとのこと。
詳しい事情を訊けるわけないけれど、何かがあったのはまちがいない。でも幸いだったのは、北野店のご主人がおられたこと。かなり疲れた様子だったらしいけれど、とにかく土日ならあのカレーを食べることができる。
ご主人はそこそこ年配だから、いつかこんな日が来ることはわかっていた。あと継ぎがないお店なので、それは仕方ない。でもいざ目の当たりにすると、かなりショックだった。まさに諸行無常とはこういうことを言うのだろう。そのことを痛感させられた。
とりあえず土日なら元町店で食べられるので、近いうちに行こうと考えている。今の状況なら、いつ完全閉店しても不思議じゃないからね。
そんなこんなで午前中はバタバタしていたけれど、これまたかなり久しぶりのお店でランチをした。イタリアン人のオーナーが経営しているお店で、従業員の人もほとんどがイタリア人。
ただし常に予約がいっぱいで、飛び込みで行くと食べられるかどうかドキドキすることになる。幸いにもトップで並んでいたので、なんとか潜り込むことができた。
だけど心のどこかに不安がある。諸行無常を痛感したばかりだから。お店の雰囲気は変わっていないけれど、料理の味が変わっていたらどうしよう?
前菜が出てきたときに、その予感が的中した。これはカツオののカルパッチョ。でも以前なら数種の前菜が盛られていて、ワクワクしたものだ。だからかなり不安になった。
でも次のマルゲリータが出てきた瞬間に、ほっとした。
薪釜でイタリア人の職人さんが焼くピッツアは、本物のナポリ風。あまりに美味しそうでがっついたので、食べかけの写真になってしまったw
味はまったく変わらず絶品! 生地はモチモチだし、トマトソースの美味しさにうっとりする。あぁ、良かった。きっとカツオのいいものが入ったので、いつもとちがう前菜だったのかもしれない。
続いて登場した明石蛸とオクラとドライトマトのスパゲティは、悶絶するほどうまい。やっぱりここのお店は最高。客席はあっという間に埋まってしまった。
そしてこのプディングは、見た目はシンプルだけれど、マジで驚くよ! 説明できる言葉が思い浮かばないほど美味しい。そして食後に出るコーヒーが、本格的なイタリアン仕様。どこで飲むコーヒーよりうまい。
諸行無常を感じた今日だから、変わっていないものを確認してうれしかった。でもこれは努力のたまもの。だって同じレベルを維持するということは、並大抵の努力では不可能。変わらないということは変化していないのではなく、たゆまない努力が積み重ねられているということ。
普通を超えて突き抜けたものは、それを維持することに多大な労力を要する。それは文章でも同じだろう。突き抜けるだけのパワーと、それを維持するための基礎体力が必要になる。こうした料理からも、学ぶことは多いよね。
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