命をかけた最後の演技
まだ今日は過ごしやすいけれど、数日前に比べると夏が戻ってきた気がする。戻ってこんでもええのにw
まだ8月も2週間近く残っているから、暑いのは仕方ないよね。7月の酷暑のようなことはないだろうから、気合いを入れて乗り切るしかない。そんなときに元気が出るのは音楽。
ボクが注目しているミュージシャンに、ジェス・グリンというアーティストがいる。イギリスの人で、今年の10月には2枚目のアルバムが出る。すでにそのアルバムから2曲がリリースされているけれど、ようやく3局目が登場した。『All I Am』というタイトル。
彼女らしい軽快なポップスで、これまたヒットしそう。でも曲以上に、ボクはこの曲のビデオクリップが気に入った。普段のジェスの様子が撮影されていて、見ているだけで楽しさが伝わってくる。凝った映像が多いこの世界だから、かえって引きつけられた。 なんか元気が出るよ!
ついでにもうひとつ、イギリスのバンドを紹介しよう。クリーンバンディットというグループで、最新作の『Solo』という曲は大ヒット中。そのビデオはなかなか面白くて、男性にDVを受けていた女性が占い師に頼み、男を犬に変えてしまうというもの。
その『Solo』のビデオに、なんと日本ヴァージョンが登場した。おそらく芸舞妓をイメージしているようで、京都の祇園等で撮影されている。ベタな設定やなぁ、と思いつつ見たけれど、これが意外にいい。
しとやかな芸妓さんの内に潜んでいる別の一面を、二人の女性に分離することで表現している。いやいや、これはかなりボクのツボに入った。この曲にピッタリかもしれない。斬新な振り付けで表現されたダンスも見られるので、一見の価値があるよ〜!
そして元気が出るだけでなく、心が癒されてほっとする映画も紹介しよう。
『イル・ポスティーノ』という1994年のイタリア映画。この映画のタイトルは知っていたけれど、こんな素敵な作品だとは思わなかった。初めて観たけれど、この映画がもつ独特な魅力に引き寄せられてしまった。
パブロ・ネルーダという実在の詩人がいる。彼の思想ゆえチリ政府から国外追放の処分を受け、イタリアのカプリ島に身を寄せていたことがある。1950年代のこと。その史実に基づいて、作れらたフィクション。
漁師の息子であるマリオは、どうも漁師が肌に合わない。それで仕事を探しているとき、パブロ専用の郵便配達人を募集していることを知る。採用されたマリオは、近い未来にノーベル文学賞を受賞することになる詩人に惚れ込む。
そんな二人の友情を描いた物語。マリオはどうも覇気がなく、自己主張が苦手なタイプ。とても優しくて、どこか不器用。だから一目惚れしたベアトリーチェに対しても、どうしていいかわからない。そんなマリオを見て、親友となったパブロが一肌脱いでくれる。そして二人は結婚する。
やがてチリ政府の国外追放処分が解けて、パブロは祖国へ帰ってしまう。彼は有名人だから、どうせ自分のことなんか忘れるかもしれない。マリオはそんな不安を抱きながらも、島で暮らして思い出を彼に忘れないで欲しいと願う。そこで、マリオは島の美しさを集めて、それをパブロに届けようとする。
ラストは少し悲しいけれど、とても素晴らしい作品だった。マリオはどこまでも誠実で、どこまでもまっすぐで、どこまでも不器用だった。そんな彼に心を打たれてしまう。
それもそのはず。このマリオを演じたマッシモ・トロイージーという俳優さんは、心臓病を患いながらこの映画に出演していた。脚本も書いているくらいなので、この物語に強い思い入れがあったんだと思う。
そして撮影が終了した12時間後に、彼は亡くなっている。自分の命をかけた最後の演技を、この映画に残したんだろう。感動して当然かもしれない。まだ観たことがない人は、ぜひ彼の演技を体験して欲しい。とても優しい気持ちになれると思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする