ガストンとの対話 Vol.14
今日も唐突に始めますが、「努力は必ず報われる」という言葉があります。座右の銘にしている方もおられますね。だが私はその言葉に関して、懐疑的な印象を持っています。ガストンさんは、どのように思われますか?
「まずはその努力という言葉についての認識を、調整しておく必要があるな。この前の対話で話したであろう」
えぇ、努力を努力と感じないようその物事を好きになり、夢中に、そして熱狂することが大切だと。しかしそれでも超えなければならない壁が現れる。そのためには、やはり圧倒的な努力が必要とされるという話しでしたね。
「そうじゃ。努力という言葉をそういう意味でとらえてくれ。そこであえて言おう。努力が報われないこともある!」
アハハ、これまたストレートな意見ですね。モチベーションが下がってしまいそうです
「ただし、少しつけ加える言葉がある。特定の目標を定めたとき、その努力が報われないことがある、ということだ」
特定の目標ですか。もう少し具体的に話してくださいませんか?
「スポーツの世界がわかりやすいな。オリンピックで金メダルを取ることが目標だとしよう。ひとつの種目に、ひとつの金メダルしかない。金メダルを取るという目標を達成できるのは、たったひとりだけだ。だが、それ以外の選手は努力をしなかったであろうか? 金メダルを取った選手以上に努力した人間もいるであろう」
なるほど、だれもが必死で努力して練習していると思います。
「特定の目標を定めたとき、成功した者だけが「努力は必ず報われる」と宣言できるのだよ。だが、その周囲には目標を果たせなかった人間のほうがはるかに多い。日本代表に選ばれること、オリンピックで決勝に残ること、入賞すること等、それぞれ目標が設定できるであろう。だが、その目標を達成した人間より、挫折した人間のほうがはるかに多いのは理解できるな? しかしそれらの選手の努力には違いがないはずだ。そのレベルになれば、才能もあるだろうし、誰だって必死で努力してトレーニングを積む。つまり、努力が報われないこともあるのじゃ。それが現実だ」
そう思うと、何のために努力するのかと思ってしまいますね……。
「だが、もうひとつ大切なことを憶えておくがいい。努力が報われないことはある。しかし、成功した者は「必ず」努力しているとうことだ。楽しい努力であれ、辛い努力であれ、そこにエネルギーを注がずに目標を達成した者はいない。目標に向けての努力が報われないかもしれないが、その努力なしでは報われることもないのだよ。それでも努力を放棄するかね? 諦めた人生が楽しいかね?」
ガストンさんの言いたいことがわかったような気がします。つまり人生をどのように捉えていくかということですね。自分の限界を超えることで、新しい世界が見えてくる。その方向へ向かうベクトルがすぐに結果をもたらさなくても、挫折から学ぶべきこともある。チャレンジしなければ、何も起きない。ある目標に対しての努力が報われることがなくても、決して人生において無駄ではないということだと理解しました。
羽座間健児さんとのコラボ企画『マルチエンディングの小説トレイン』は連載開始しています。こちらからどうぞ。
『夢で会える 体外離脱入門』は在庫僅少ですので、お求めの方はハート出版さんや書店に問い合わせてください。Amazonでの注文はこちらです。
『ゼロの物語』3部作は電子書籍のみの販売となりますので、こちらのホームページから販売サイトに行ってくださいね。