SOLA TODAY Vol.132
AIの利用法は、決して囲碁や将棋だけではありません。様々な分野で応用できるよう、研究が進められていると思います。
そんなAIが関与する分野として、わたしが以前から早く導入すればいいと思っていたものがあります。それがようやく実現しそうです。
国会中継を見ていると、議員の質問に対して大臣が答弁をしています。それらのほとんどは官僚が事前に用意していたもので、作成に要する時間や労力は相当に大変だと耳にしたことがあります。
国会が始まると、その前日の深夜や当日の未明までかかって答弁の見本を作成するそうです。まさにブラック企業のような仕事ですね。的確な答弁を作成して当然であって、まちがった内容や、想定外の質問に対応できないような答弁であれば、大臣から叱責を受けることになるのでしょう。
そこで経済産業省がAIを使って、国会答弁の下書きを作成する実験をスタートさせます。この記事にもありますが、『例えば「省エネルギー政策を推進すべきか」という質問を入力すると、AIが過去に行われた関連質疑から政策のポイント、課題、論点などを整理して提示する仕組みを想定。この下書き資料を基に、職員が国会答弁や政策資料を作成できるかどうか検証する』とのことです。
今年の3月まで実験を重ねて、導入のための課題を検討する予定です。役人らしいなんとも呑気な計画ですが、とりあえずスタートしただけでも評価するべきだと思っています。これほど AIが得意とする分野はないと思うからです。
国会での答弁は必ず記録に残されているはずですから、膨大な量の答弁を学習させれば、人間が作るよりはるかに素晴らしいものができると思います。もしかしたら、わざわざ大臣が答える必要がなくなるかもしれません。
国会で議員が質問すると、各省庁のロボットが登場して、大臣の代わりに質問に答えてくれる時代が来たりして〜(笑)
わたしは京都の祇園の芸舞妓事務所で働いている時、こんなロボットがあれば便利だなぁと思ったことがあります。お茶屋組合と芸妓組合では予算と決算を明示するために、定期的に役員総会が開かれます。
議長としてお茶屋さんや芸妓さんの理事が壇上に登ります。でもそれが本職ではありませんから、事務局が台本を作成します。それこそあいさつから議事の進行まで、そのまま読めば総会が終了するようになっています。そんな台本をわたしは作っていました。
事務所代表として総会に参加して、議長が次の項目を話すタイミングを目で合図したりします。もし読めない漢字が出てくれば恥をかかせることになりますから、老眼でも見えるように大きくルビをふっています。
もちろん財務担当として予算や決算をまとめたのもわたしですから、その内容は熟知しています。もし議長や理事が答えられない質問が出たら、すぐに対応できるようにスタンバイしています。規模はちがいますが、国会での官僚とよく似たことをしていました。
だからこんなことがAIで対応できるようになれば、かなり便利だと心から思ってしまいます。上場している企業の株主総会でも利用できそうですね。まずはこの記事のように官庁が動いてくれることで、一般企業にも広がっていくと思います。やっと来たか、と思うニュースでした。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。