SOLA TODAY Vol.192
受験シーズンもそろそろ終盤を迎えている。この時期は受験生だけではなく、学校側にとっても必死にならざるを得ない。なぜなら少子化の波がモロにやってきているから。
いわゆる有名大学については、それほど影響がないかもしれない。ボクたちの時代と比べたら受験戦争という言葉が浮いて聞こえる現代でも、そこそこの入学希望者を確保できている。
でもそんな大学ばかりじゃない。一部の私大では学生の確保に苦労している。これからは淘汰されている大学がいくつも出てくると思う。
そんな少子化の影響は大学だけにとどまらない。同様に生徒確保に苦労しているのが自動車学校。昨日、こんな記事を見た。
自動車教習所「いっそのこと食べ放題!」 快適化が止まらない理由
2016年の自動車学校の卒業生は、ピーク時である1990年の6割に落ちている。それは少子化だけでなく、若者の車離れの影響も大きい。
それなのに自動車学校の数自体は、ピーク時の1割減程度でとどまっているらしい。つまり生徒の激しい取り合いが展開されていて、その競争に生き残れなかった自動車学校は消えていくという状態。
でも値下げすれば職員の給料を払えない。そこで学校に通ってもらえる付加価値をつけることにした。学生が多いので、うまくいけば後輩に影響を及ぼすこともできる。
なんと大阪の『箕面自動車教習所』は、受講生を対象にした食べ放題、飲み放題のサービスを行っている。
この記事のメニューを見てみると、決して上質な料理ではない。でも学生が普段の食事にするのは十分だと思う。だって無料だよ!
教習のカリキュラムに関係なく、食事目的だけでの利用も問題ない。教習所に通っている期間、3食のすべてをここで済ませた猛者もいる。あるいはわざと免許を取るのを遅らせたりする学生もいる。
経営者の目論見どおり、この教習所の評判は大学の後輩に口コミで広がっているとのこと。大学のクラブによっては、ここで免許を取れ、と指定しているところもあるらしい。
こうした動きは全国に広がっているようで、食事券をつけたり、ゲーム機のプレゼント、現金のキャッシュバック、免許合宿でのケーキバイキング等、生徒を集めるための付加価値合戦になっている。
面白い傾向だと思う。でも続かないだろうなぁ。
少子化は進む一方だし、車離れの加速度が落ちることはないと思う。さらに自動運転の車が普及するようになると、将来は免許を取る必要性自体がなくなるかもしれない。
楽しい記事だけれど、ボクは『自動車学校』の断末魔の声を聴いている気分になった。免許制度がすぐになくなることはないから、自動車学校は必要だと思う。でも今ほどの数はいらない。
これから自動車学校の本格的なサバイバル経営が始まると思う。それは中小の大学も同じ。専門学校、塾や予備校もそうだね。ゼロにはならないけれど、すべてが生き残るのは無理だろう。厳しい時代になってきたね。
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