ペーパー・ムーン
春だよねぇ。幸い花粉症には縁がないので、今日のような青空と太陽はありがたい。
過ごしやすい気候なので、仕事も集中力を持続させやすい。お彼岸も近いので、これから今日のような日が増えてくるだろう。
春を告げる沈丁花の花も、満開を迎えていた。すぐ近くを通るだけで、素敵な香りが「春が来たよ!」というメッセージを伝えてくれる。そんな春を待っているのが受験生。
兵庫県の公立高校は、今日が入試。マンションの同じ階に受験生がいるので、今朝早くに意気揚々と出かけていった。少子化とはいえ、本人にとっては人生の一大事だものね。全力でやりきった、という気持ちで今夜を迎えることができればいいなぁと思う。
さて、今日はメチャメチャ素敵な映画を観た。
『ペーパー・ムーン』という1973年のアメリカ映画。
名作なので当然ながら名前は知っていた。ライアン・オニールとテータム・オニールという、実の親子が出演しているのも承知している。でも縁がなくて、今日まで観ることがなかった作品。
古い映画はあまり期待せずに観るけれど、これは想像をはるかに超える素晴らしい映画だった。きっと何度観ても飽きない作品だと思う。
まだ子供なのに、この作品でアカデミー賞の助演女優賞を受賞したテータム・オニールの演技にマジでびっくり。受賞して当然だろう!
10歳で受賞という最年少記録は、いまだに破られていないらしい。彼女の素晴らしい演技を観るだけでも価値のある作品だと思う。
交通事故で母親を亡くしたアディ。たまたま葬式に訪れた母の恋人のモーゼは、行きがかりでアディを遠く離れた叔母のところへ連れていくことになる。
母親は『マンマ・ミーア!』のメリル・ストリープと同じで、同時期に3人の男性と交際していた。アディの父親はその3人の誰かだけれど、モーゼもその候補の一人。そんな縁で仕方なく引き受けることになる。
ところがモーゼの仕事は詐欺師。道中に詐欺を重ねながら金を稼ぐ。それを助けたのがアディ。彼女は大人以上に頭の回転のいい子供で、状況を把握して見事な詐欺を働くことができる。そして二人は大金を得ることに成功する。
でも犯罪がうまくいくわけない。ラスト近くで二人は警察とトラブルを起こし、稼いだ金を失くしてしまう。すっかり本当の親子のようになった二人だけど、モーゼは最初の約束どおりにアディを叔母の元まで連れてくる。
だけど、どうなるのか予想できるよね?
アディは金持ちの叔母の元を離れ、モーゼを追いかけるというラスト。予想どおりの展開なのに、あぁ、よかった、と思わず呟いてしまう。そして涙が出てくる。そのシーンに、紙で作られたペーパー・ムーンが関わってくる。
ラストシーンは最高! オンボロのトラックに乗り込んだ二人が、延々と続いて先が見えない曲がりくねった道を進んで行くシーンで終わる。ロケハンをしている映画のスタッフが偶然に見つけた道らしいが、完璧なエンディングだと思う。
ビートルズの名曲である「ザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード』が頭のなかで流れてきた。
最後まで二人が本当の親子であるかどうかは、映画では明かされない。でも実生活で本当の親子だから、顔は似ているし、息も合っている。だから観ている人は、親子だと断定しながら二人を応援したくなるだろう。
テータム・オニールは、ボクの場合『がんばれ!ベアーズ』という映画の印象が強い。お父さんのライアン・オニールは、言うまでもなく『ある愛の詩』だよね。
年齢を重ねてから作品に恵まれなかった二人だけれど、この作品は映画ファンの心にいつまでも残る名作だと思う。ボクのなかでも、トップ10に躍り出た映画になった。心をポカポカに温めたい人には、ぜひ観て欲しい映画だと思った。
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