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高羽そらさんインタビュー

SOLA TODAY Vol.241

日本語というのはユニークな言語で、他人に対するセリフで人間関係がわかる。だから小説の会話文で主語が抜けていても、誰が話しているのか説明する必要がない。

 

特に上下関係に関してはシビアで、これは日本語独特のものだと思う。会社の上司が部下に対して「高羽!」と呼び捨てにするのは普通で、横柄な人物だと「お前!」という人間性を否定されたような言葉が飛んでくる。

 

だけど終身雇用や年功序列が過去の遺物になりつつある現在、いつ立場が変わってしまうかわからない。それまで「お前!」と呼んでいた人間が、自分の上司になったらどうするのだろう? かなり困ったことになる。

 

西村ひろゆきが年下の部下にも「さん付け」する理由

 

2ちゃんねるの創立者であり、ニコニコ動画を運営するドワンゴの取締役を務めた西村博之さんは、ボクが興味を持っている人物。何度か動画でのインタビューを見たことがあるけれど、頭の回転の速さと人柄の良さに好印象を持っている。

 

西村さんは年下の部下でも「さん付け」で呼ぶらしい。その理由は先ほど書いたことと同じ。

 

「立場が変わったときにおかしいことになる」と述べておられる。

 

説得力のある理由だし、ボク的にはその理由を度外視して「さん付け」を心がけている。年上であろうと年下であろうと、上司であろうと部下であろうと関係ない。

 

人間として他人に接するとき、「さん付け」で呼ぶのは普通だと思っている。個人的に関係が深まって、互いに友人と呼べるような関係になれば別だ。あだ名で呼んだり、愛称で呼び合うことはあるだろう。

 

ボクが京都祇園の花街で働いていたとき、ドンと呼ばれる人物が役員でおられた。N氏は明治生まれで、戦後の祇園町を復興させた人物。彼がいなかったら、舞妓さんで有名な京都の花街は歴史から消えていたかもしれない。

 

毎日午後に事務所へやってきて、夕方に帰られる。事務所が休日の日曜日がつまらない、と言っておられるのを聞いたことがある。京都の政財界で名前を知らない人はいないほどで、亡くなったときには地元の新聞でかなり大きな記事が書かれた。

 

そのN氏は、まだ30代だったぺいぺいのボクに対して、いつも「高羽さん」と呼んでくれた。威圧的な態度や、命令口調で話すことはない。90歳近い年齢なのにがっちりした身体をされていて、軍隊経験もある。だけどそんな雰囲気を感じさせないほど、いつも優しく接してもらった。

 

現実的な話をすると、戦後すぐに働いていた70歳前後の職員に対しては呼び捨てだった。ある人はN氏に呼ばれると、かなりビビっておられたのを思い出す。

 

N氏がボクに丁寧な言葉を使われたのは、これからの祇園を背負ってくれる若い世代に対して、後事を託したいという想いがあったのかもしれない。

 

結果的にはボクは祇園町を出たけれど、N氏が亡くなったときは職員として、歌舞練場を使った告別式のお手伝いをすることができてよかったと思っている。

 

少し話がそれたけれど、年下の人や部下に対して「さん付け」と呼ぶのは、とてもいいことだと思う。立場の逆転に関係なく、人間同士の心のやり取りとして必要不可欠なものだろう。

 

以前にもブログで書いたけれど、テレビのロケ番組で登場する一般の年配の人たちの言葉づかいが、横柄で気になることが多い。若い芸人さんたちに対してタメ口をきくだけでなく、小馬鹿にしたような口調で話す。いつも強烈な不快感を覚えてしまう。

 

日本語は特殊な言語で、人間関係があらわになる。でも逆にいえば、使い方次第で他人との関係を円滑にすることができる。だからこそ、もっと言葉を大切にしていくべきだと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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