リバース
8月に入ってから、思わぬ苦労を強いられている。ここ数日のTwitterでもつぶやいていたけれど、MacBook AirのEのキーがまともに反応しない。
いわゆる二度打ちのような押し方をしないと文字が表示されない。かなりコツがわかってきたとは言え、いつものペースと同じというわけにはいかない。
高速道路で順調に運転しながら、突然ブレーキを踏むようなものだから、かなり危なっかしい。リズムが取りにくいんだよね。
このパソコンは2013年の6月に買い換えたから、丸4年を過ぎたところ。それ以来ほぼ毎日、平均して7〜8千文字を打ち込んでいて、多い日は軽く1万を超える。だからどうしても日本語の性質上、母音のキーが故障しやすい。
以前に使っていた富士通のパソコンも、Aのキーの印字が擦り切れてしまった。まぁ、ボクの場合キーのタッチが強いという悪癖も影響しているのだろう。
だけど、ものは考えよう。この2日ほどで新しいペースに慣れつつあるので、いろいろと新発見をしている。まずは文章をじっくりと書けるようになった。Eのキーでブレーキがかかるたび、ひと呼吸の間を取れるようになってきた。
さらにキーのタッチをソフトに改善したかったので、その練習になっている。今まで力任せに打っていたキーボートに対して、少し優しく接することができるようになってきたかも。まぁ、どんなことでも新しく学べるということだよね。
さて、昨日はとても面白い小説を読了した。
『リバース』湊かなえ 著という本。
すっかりハマっている湊さんの小説。実は今年の4月から6月にかけて、この作品がドラマ化されているのを知った。気にはなっていたけれど、先にイメージを持ちたくなかったので、ドラマを見るのを我慢していた。
読了してから調べたけれど、そうしてよかったと思う。基本的なストーリーは同じだけれど、ドラマはかなり変更されている。登場人物が増えているし、結末もちがう。
映画だと尺の関係から原作に準ずることが多いけれど、連続ドラマなのでかなりストーリーが膨らんだのだろう。主人公が藤原竜也さんだったので、本音としては見たかった。だけど原作を読んで、やはり見なくて正解だと思った。
なぜならボクにとって主人公である深瀬和久は、藤原竜也さんほどイケメンじゃない。並みの器量じゃないといけない。もしドラマを先に見ていたら、藤原さんのかっこいい顔しか浮かばないから、ちがった読み方をしていたと思う。
それにしても湊さんという人は、人間の心理をどれだけ深く掘り下げているのだろう? ちょっと恐ろしく思うこともある。『告白』という小説でその本領を発揮されているけれど、この作品でも人間の心の闇が浮き彫りにされている。本当に素晴らしい内容だった。
決して本格的なミステリーじゃないけれど、答えがわかると面白くないので、今後読む人のためにネタバレはしない。他人の楽しみを奪ってはいけないからねw
卒業を控えた同じゼミの5人の学生が、親戚の別荘を借りてパーティーをする。一人遅れた学生を迎えに行くため、山深い別荘地から免許を取得してまもない広沢という男性が車を走らせた。彼は酒を飲んでいたのに、ある意味押し付けられてハンドルを握った。
深瀬はアレルギーで酒を飲めないが、運転免許を持っていない。親友である広沢を心配したが、結局は送り出してしまう。だが広沢は崖に落ち、車ごと焼け死んでしまう。事故として処理されたが、他の四人には彼を死なせた責任が重くのしかかっていた。
それから数年後、社会人として暮らしていた四人を、殺人者として告発する文章が送りつけられる。そのうちのひとりは、駅のホームで突き飛ばされ、もう少しで命を落とすところだった。
広沢に酒を飲ませたことを知っているのは、四人だけのはず。だったら、その四人を脅迫したのはいったい誰なのか?
深瀬は広沢の過去を知るために彼の故郷を訪ね、真相に近づこうとする。そして最後の最後に、衝撃的な事実を知ることになる、という物語。
この作品に関していうと、ボクは四人を告発した人物とその背景が途中で読めた。そしてラストの衝撃的な事実も予測してしまった。伏線がかなりはっきりしていたから。これは作家としての視点だから仕方ない。だけど、そうなって欲しくないと思いながら読み進めていたので、やっぱりショックだった。
これこそ湊かなえさん、という作品だと思う。特にラストの事実はかなり衝撃的。主人公の深瀬の気持ちを思うと、胸が痛くなる。これからもボクにとって、目が離せない作家であることはまちがいない。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。