SOLA TODAY Vol.447
ボクが嫌いな言葉のひとつに、「努力は必ず報われる」というものがある。そんなわけないやん!
この言葉には、支配者が庶民を統制するための悪意が感じられる。かといって努力が必要ないと考えているわけじゃない。努力というものをどうとらえるかは、人によってちがうだろう。だけど努力なしになされるものはない。
ボクが引っかかっているのは、『必ず報われる』という部分。結果という観点から見れば、努力が必須なのは明らか。だけどそれだけで結果が出るわけじゃない。その時代の嗜好、勢い、運、人間関係等が複雑にからみあって結果となる。
つまり方向性がズレていたり、結果から見て無駄としか思えない努力が存在するということ。そのことを裏付けるような研究結果が公表されている。
遺伝というものがどのような影響を及ぼすのか? 身長や体重の遺伝率は90%になる。なるほど、これはわかるよね。両親の背が高いと、子供たちも同じような体型になる。太りやすいのも環境の影響だけでなく、遺伝的要素が高いことは知られている。
遺伝率の低いものでは、パーソナリティや飲酒、喫煙などの遺伝率は50 %になる。それでも、性格や嗜好の半分は両親の影響を受けるということ。そんな遺伝率で驚くような結果が出ている。
なんと知能と学業成績の遺伝率が、60〜70%になるんだってよ〜!
この数字は身長や体重に及ばないまでも、決して見過ごすことのできない高さ。子供たちは学校に通うようになると、必然的に学業の競争に巻き込まれる。クラスメイトとの成績を比較されて、落ち込んだりする。
俺は必死で勉強しているのに、たいして努力していないように見えるあいつのほうがなぜ成績がいいんだ? その疑問の答えは、遺伝にあるかもしれない。つまり同じ年齢で入学しても、スタート時点ですでに差がついているということ。
これはかなりショックなことだよね。どれだけ教師が声高に「努力は必ず報われる」と言っても、説得力がなくなってしまう。同じだけの努力をした二人の子供がいても、遺伝的なちがいによって成績に差が出るのは辛い。
もちろん勉強に関しては、環境の影響もあるだろう。だけど70%が遺伝に左右されているとすると、環境要因は30%でしかない。遺伝的に不利な人は、そのわずか30% の範囲内でもがくしかない。
これはもしかすると、勉強だけではなく運動能力等も遺伝の要素が強いのかな? だったらスポーツで同じだけの努力をしても、アマチュアで終わる人とプロとして活躍する人に分かれてしまうかもしれない。なんだか夢のない話だよなぁ。
もしこの研究が事実だとすると、無駄な努力をしている人は多いと想像できる。だけどボクは、努力は必要だと考えている。そして誰もがその努力を生かすこともできると信じている。
そのことについては、今夜のブログで少し書いてみよう。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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