SOLA TODAY Vol.485
日本で『無人』といえば、せいぜい田舎にある『無人駅』くらいだろう。それは技術の進化ではなく、単なる過疎化の影響。
ところが今や中国では無人コンビニが普通に営業している。同じ『無人』でも日本と意味合いが大きくちがう。さらにシンガポールではもっとすごいものが『無人』へと変貌しつつある。
なんとシンガポールでは、空港の無人化が進められている。シンガポールのチャンギ空港は、世界でも名だたるハブ空港となっている。日本の成田や関空では太刀打ちできないほど。そのチャンギ空港の第4ターミナルではほとんど働いている人の姿が見えない。
まずはチェックインカウンター。航空会社の搭乗券の発行や荷物預けは機械で行う。航空券の予約番号を入力するか、パスポートをスキャンさせると、座席が指定できて搭乗券が発行される。同時に手荷物預け用のタグが印刷される。
そのタグをスーツケースにつけて、自動手荷物預け機に移動。乗客の写真が撮影されて、パスポートの顔と一致するかチェックされる。確認が終わると、スーツケースは航空会社のベルトコンベアーを流れていく。
シンガポールでは国籍に関わらず、入国時に指紋を登録しておけば自動出国ゲートを利用できる。顔と指紋を機械が判定してくるので、出国審査が無人で可能。
乗車前の手荷物検査は、さすがに無人では無理らしい。それでも最新の機械が導入されることで、他の空港ほど職員を必要としない。そして搭乗口にも人はいない。搭乗券をスキャンさせれば、顔写真が撮影されて登録写真と照合されるだけ。
とにかく徹底した無人化が促進されていて、このシステムを採用していない空港に比べて長期の人員を20%は削減できるとのこと。これは空港としても経費の削減につながるし、利用者にとっても利便性が高い。
韓国の仁川空港でも、この無人化が導入される。平昌オリンピックがあるので、それに合わせて無人化のターミナルを設けるとのこと。ボクは一度だけ仁川空港を利用したことがあるけれど、日本の国際空港が恥ずかしくなるほど素晴らしい空港だった。
そんな空港の無人化は、日本ではまだまだ先の話らしい。今年の10月になって、羽田空港でようやく入国審査の顔認証システムが導入されている。使用した人の感想はおおむね良好なので、これからは他の空港でも始まるだろうね。
だけどシンガポールや韓国に比べると、かなり遅れを取っているのは事実。スーパーの無人化が当たり前になりつつある時代なのに、いまだに日本人はスーパーの有人レジで小銭をばらまいている。
昨日も妻が言っていたが、前で精算をしていた女性が小銭入れの小銭を全部出した。レジの人が必死で数えたが、金額が足りない。仕方なくその女性は千円札を出したらしい。この時間のロスやうしろで待たされる人の精神的な負担を考えるだけで、マジでうんざりする。
日本は大丈夫か? もう手遅れなんじゃないか? この記事を読んで、真剣にそう思ってしまった。
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