本当の勇気とは?
今日は天気予報どおりの雨。深夜から明け方にかなりの大雨が降った。今日の午前中は少し落ち着いていたけれど、午後からはまた強い雨が降っている。
昨日に予定を変更しておいて、結果として良かったと思う。おかげで腰をすえて仕事をすることができた。新しいアイデアを注入して新作物語をブラッシュアップしているので、どれだけ時間があっても足りないほど。明日も引きこもって、集中できそう。
さて、本当の勇気とは? そんなことを真剣に考えさせてもらえる映画を観た。大好きで何度も観ているけれど、かなり久しぶりだと思う。
『戦火の勇気』(原題:Courage Under Fire)という1996年のアメリカ映画。20年以上前の作品なので、まだ若いデンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、そしてマット・デイモンという名優の、キラキラした素晴らしい演技を堪能できる。
デンゼル・ワシントンが演じるサーリング中佐は、女性初の名誉勲章候補であるウォールデン大尉の調査を命じられる。戦争を正当化するためには、是非とも女性の名誉勲章を出したい。ある意味出来レースの調査なんだけれど、サーリングは問題点を見つける。
ウォールデン大尉はイラクで戦死している。だが生き残った4人の部下の言動が不自然。そこには隠された事実があるとしか思えなかった。サーリングは上官の警告を無視して、真実を探ろうとする。
彼の原動力となっているのは、自らが抱えていたトラウマだった。素晴らしい軍功を残した中佐だったけれど、自分が命令した戦車の誤爆で、部下を死なせている。味方に向かって砲撃をしてしまった。だけど軍の幹部はそれを公にしないよう圧力をかけてくる。
自分が抱える罪悪感と闘いながら、サーリングはウォールデン大尉に関する真実を明らかにしようとする。それは死なせた自分の部下に対する贖罪でもあった。この映画で問われているのは、勇気とは何か? ということだろう。
戦場で勇気を持って行動することは、兵士にとって欠かせない。だけど本当の勇気とは、真実を語ることではないだろうか? この映画は観客に、そう訴えてくる。そしてラスト近くで、ウォールデンの部下だったイラリオ(マット・デイモン)は、真の勇気を出して真実を語る。
そしてサーリング中佐も、ラストシーンで自分が死なせた部下の両親に真実を告げる。真実を語ることの勇気が、この映画のテーマとなっている。
この映画の見どころは、ウォールデン大尉を演じたメグ・ライアンの演技。証言する内容によって、まったくちがう人物として登場する。勇敢だったり、臆病者だったり。ラブコメディの彼女しか知らない人には、このメグ・ライアンをぜひとも観て欲しい。
この写真でもわかるけれど、迫真の演技だからね。本当に素晴らしい女優さんだと、改めて認識させられた。もちろんデンゼル・ワシントンも素晴らしいけれど、やはりすごいと思ったのはマット・デイモン。
彼はこの映画の翌年に『グッド・ウイル・ハンティング』でブレイクするから、まだあまり名が知られていないころ。今日じっくり観ていると、戦闘シーンと現在の彼の風貌がちがう。現在のシーンでは、かなり痩せてやつれた顔をしていた。少し調べてみて驚いた。
イラリオは戦争体験のショックで、アメリカに戻ってから麻薬中毒になっているという設定。だから役づくりのために、あえてガリガリに痩せたらしい。さすがだよね。こうした努力の積み重ねが、俳優として評価されていったのだろう。いろいろな意味で、見応えのある素晴らしい作品だと思う。
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