中年のあなたが意識すること
令和に元号が変わったとき、明治、大正、昭和、平成、そして令和という5つの元号を過ごすことになる高齢者が紹介されていた。100歳を超えるような方ばかりだから、本当にめでたいことだよね。
高齢化社会まっしぐらの日本にとって、できるだけ元気で歳をとることは大勢の人の願いだと思う。そのために食事に気をつけたり、ジムに通ったりして、中年のころから健康を意識している人は多いだろう。
食事と運動というのは、肉体を維持していくための基本。だからそれらに注意することは大切。でもそれ以上に大切なのは、メンタルだと思う。逆に言えば、どれだけ食事と運動に注意しても、メンタルがグダグダだと快適な老後が望めないような気がする。
ボクがそう思うのは、そんな高齢者を大勢見てきたから。京都祇園の芸舞妓事務所で働いているとき、30代だったボクよりも若々しい高齢者が、両手で数えられないほどおられた。
今朝、朝食を食べながら、妻と祇園時代の思い出話をしていた。妻はボクの部下だったので、共通する話題に事欠かない。総じて言えるのは、心身ともに元気な高齢者が多かったこと。そのほとんどは女性で、芸妓さんとお茶屋の女将さんたち。
ボクがいつも思い出す芸妓さんがいる。地方(じかた)といって三味線と唄を担当する人で、舞子さんや若い芸妓さんがお客さんに舞を披露するとき、演奏をする芸妓さんのことをそう呼ぶ。
当時80歳を超えていた地方さんがいた。地方さんは舞子さん等に比べると、お座敷に呼ばれる機会が少ない。だけどその芸妓さんは、いつどんなときでも夕方になると身支度を整えて、お座敷に行けるように待機されていた。中年の地方さんでも、そこまでされている人は少ない。
まさに生涯現役という芸妓さんで、お会いしても眼光鋭いし、気持ちが本当に若い。突然連絡してもお座敷に駆けつけてもらえるので、お茶屋さんには重宝されていた。高齢でもボケることなく元気で過ごされている方は、その芸妓さんと共通している部分が多い。
それは自分のやりたいことを自覚されていて、日々継続されているということ。プロとして手を抜かず、生きている限り精進を忘れない。だから元気なんだと思う。
ある女性作家のエッセイを読んで、ボクは同じことを感じた。
『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子 著という本。
作家の佐藤愛子さんのエッセイ。これがメチャメチャ面白い。どれだけお腹を抱えて笑ったことか。この本が出版された当時は92歳で、現在でも95歳でお元気な様子。
週刊誌で隔週掲載されたエッセイを集めた本。小説は80代のときに書かれたのが最後で、それ以来は隠居のような生活をされていた。ところが文章を書かなくなると、気持ちのふさぐことが増えたそう。老人性のうつのような状態だった、とご本人が書かれている。
それでこのエッセイの依頼を受けたとのこと。文字を書くようになると、そんな沈んだ気分があっという間に吹き飛んだそう。やっぱり佐藤さんは根っからの作家であり、文章を書くことで生きるパワーを体現されているんだと思う。
とにかく毒舌が面白すぎて、とても90代の人が書いた文章だとは思えない。時事ネタについても精通されていて、好奇心が衰えておられないことがわかる。この本を読むだけで、自分に足りないものがいっぱい見えてきたような気がする。
中年になったら、どうしても自分の未来を感じてしまう。だけどそれは単なるイメージであって、現実じゃない。中年になったからこそ、ボクたちはなすべきことがある。それは本当に好きなことを自覚して、それに邁進すること。それさえあれば、肉体はある程度衰えてても心は老け込まない。
自分の未来に不安しか覚えない中年の人は、この本を読むべき。きっと生きる意欲が引き出されると思う。
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