蜂を魚だと認定した司法に拍手
種を守るのは動物の本能。昨日あるテレビ番組を観ていて感動した。奄美大島と徳之島にしかいないアマミノクロウサギという動物。
母親は子供を産むと、巣とは別の場所に育児用の穴を掘る。巣にはいつハブがやってくるかわからないから。掘った穴で子供に乳を飲ませ、終われば穴の入り口を土で埋める。そして2日後にやってきて穴の蓋を掘り、また子供に乳を飲ませる。その繰り返しで子供を天敵から守っていた。
そうして進化しながら種を残す方法を身につけてきたのだろう。だけど自然に人間が介入すると、進化のスピードが追いつかなくなる。すると待っているのは種の絶滅。そんな悲劇を防ぐためには、張本人である人間が行動するしかない。
ボクはある記事を読んで、種の保存のためにある判決を下した司法の行動に感動した。
マルハナバチは「魚」です。昆虫を保護対象にするため、苦肉の判決
リンク先の記事のタイトルを見ただけでは、いったい何が起きたのかわからなかった。でも記事を読むと、その内容に心を動かされた。アメリカのカリフォルニア州の出来事。
絶滅が危惧されているマルハナバチという昆虫がいる。めちゃ可愛いので、リンク先の記事から写真を転載させてもらおう。
このマルハナバチが絶滅危惧種に指定されたことで、複数の環境団体がカリフォルニア州に保護を依頼した。「カリフォルニア絶滅危惧種法(CESA)という法律があるから。カリフォルニア州ではそれを前向きに検討したけれど、農業団体からクレームが出た。
この法律の対象となるのは、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、哺乳類、植物のみであり、昆虫である蜂は指定できない。法律を盾にとって、昆虫であるマルハナバチを保護対象にしないよう圧力をかけた。
その理由は、マルハナバチが絶滅寸前なのは農薬の影響だと見られているから。もし保護対象になれば農薬の使用を制限されるかもしれない。だから農業団体は指定されるのを阻止しようとした。なんかムカつくよね。
ところが環境団体の控訴を受けて、カリフォルニアの控訴裁判所の判事はマルハナバチは「魚」であるとの判決を下し、法律によって保護することを命じた。その根拠をリンク先の記事から抜粋してみる。
『一般的に魚は水生動物とされていますが、法律では限定されていません。カリフォルニア州漁業狩猟法で定められている「魚類」は、軟体生物、甲殻類、無脊椎動物が含まれると定義されており、ハチはと陸生の無脊椎動物と解釈できます。
州議会ではこれまで、少なくとも1つの陸生軟体動物の登録をすでに承認しており、マルハナバチは陸生無脊椎動物として絶滅危惧種に指定することができると判断します』
すごい解釈で、思わず笑ってしまった。カリフォルニア州漁業狩猟法では、「魚類」が水に住むとは書かれていない。当然すぎて法律に書かれなかったのだろう。だからマルハナバチは無脊椎動物として『魚類』であるとこじつけた。素晴らしい!
ということでカリフォルニア州では、マルハナバチを保護対象とすることになった。人間によって種の絶滅寸前まで追い込んだのだから、このまま放置してはいけない。判事はそう判断したんだと思う。この可愛いハチたちが、絶滅することなく種を残していけますように。
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