SOLA TODAY Vol.567
ボクはたまに頭痛を起こす。だから痛み止めの薬はありがたい。どうしても辛いときは、服用することで仕事が普通にできる。
だけど飲みすぎると痛み止めが効かない体質になってしまうので、できる限り我慢している。薬というのは基本的に毒だと思ったほうがいい。
それでも痛いのは辛い。もし薬を飲まずに痛みを軽減する方法があるとしたら、利用したいと思う人は大勢いるはず。
そんなこと無理だと感じるけれど、10年ほど前から注目されている方法がある。まったく薬を使っていないのに、痛みを感じることなく過ごせるらしい。
それはVR(ヴァーチャル・リアリティ)を使った方法。
この記事に10歳の少年の例が紹介されている。彼はゴーカートの事故で腕を負傷した。それゆえ病院で服を着替えるときに、強烈な痛みを感じる。医師が部屋に入ってくるだけで不安を抱くようになり、着替えのために鎮痛剤を使うほどだった。
だけどVRのヘッドセットを装着してゲームをさせていると、まったく痛みを感じることなく服を着替えることができるようになった。VRのおかげで、鎮痛剤を飲む必要がなくなった。
これは子供だけじゃない。34歳の男性も同じ経験をしている。血管の確保が難しい人で、点滴のときには看護師が8人がかりで血管を確保するほど痛みを伴うらしい。ところがVRを使用することで痛みを感じることなく安静に保てるので、スムーズに点滴を受けることができるようになったそう。
VRの効果は10年ほど前から医療分野で注目されていて、鎮痛剤に変わるものとして研究されていた。それは肉体の痛みだけでなく、心の痛みにも応用されている。恐怖症や不安障害を克服するために、VRが使われているとのこと。
なぜVRを使うと痛みを感じないのか?
明確な仕組みはわかっていないそうだけれど、気をそらせるという程度のものではないらしい。おそらく仮想現実を体験させることで、脳がVRからの信号を処理するのに手一杯になるらしい。
現実ではないものを現実だと思い込ませることで、脳がパニックになっているんだろう。その現象に対応するのに神経を集中するから、痛みを感じている余裕がなくなると考えられている。脳をコンピュータに例えると、想定外のデータが入力されてバグを起こしているようなものだろう。
痛みというのは脳で感じる。だから脳を混乱させれば、痛みも感じないということだと思う。もちろん脳は重要事項を最優先するだろうから、命に関わる激痛のような痛みには効果がないかもしれない。でもある程度の痛みなら、鎮痛剤を使う必要がなくなるかも。
アメリカの医療機関では、具体的にVRを導入する方向で進んでいるらしい。日本でもいずれそんな動きが起きるだろうね。あとはVRの技術的な進化と、医療側の管理体制しだいかも。
VRのヘッドセットは、もう少し小型化すれば最適だと思う。まだデカイからね。そして医療機関としては、肌に触れるものだから院内感染の予防も重要だろう。それほど遠くない未来に、VRを使うことで手術が麻酔なしで可能になるかも。
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