SOLA TODAY Vol.627
ボクが神戸に移住してきたころに始まった裁判員制度。2009年のスタートなので、まもなく10年目に入る。賛否両論がせめぎ合うなか、とりあえずこの制度自体が話題に取り上げられることは少なくなった。
実際の運用はどのようになっているのだろう? この記事によると、どうもスムーズとは言えない状況らしい。
ボクは名簿に登録されたという通知が来たことはないので、どのような手続きで裁判員が指名されるのか知らない。この記事によると、登録された名簿から抽選で選ばれて、「選任手続期日」が通知される。その日に裁判所へ出向いて、裁判官と面談をしたうえで決まるらしい。
原則として断ることはできないし、正当な理由なく裁判所に出頭しないと、10万円以下の過料が課せられる。だけどこの罰金が課せられた人はいないらしい。だったらみんな素直に出頭しているのか? そんなはずはない。
3割近い人が出頭を無視しているとのこと。2009年には面談の出席率は83.9%だった。だけど年々減少して、今年の3月には63.6%まで落ち込んでいる。つまり罰則は形骸化しているということ。
さらに面談に出てきた人のなかで、裁判員になることを辞退する人も増加している。2009年には53.1%だった辞退者が、2018年には69.6%にまで増えている。無断欠席者を含めると、ほとんどの人が裁判員になることを拒んでいることになる。
理由はいろいろ考えられる。当初から言われていたとおり、凶悪事件に判断を下すことに対する不安があるんだろう。自分たちの決定次第では、被告を死刑にしてしまう。そんなプレッシャーに耐えられない人は多いと思う。
さらに事件現場や被害者の写真等を見る必要があるので、生理的にも精神的にも耐えられらないと感じるだろう。あまりに悲惨な事件だったら、トラウマを抱えてしまうかもしれない。
さらに最近は裁判日数が長期化する傾向らしい。2009年には初公判から判決まで、平均日数は3.7日だった。ところが2018年には11.6日まで増えているそう。仕事や家庭のことを考えると、辞退する人が増えるのもうなずける。
以前から問題があると言われてきた制度だけれど、ここにきてそうした問題が浮き彫りになってきたということかも。抜本的に制度を見直す時期なのかもしれないね。アメリカの陪審員制度とは成り立ちも歴史もちがうので、日本の現状に則したものにする必要があるように思う。
ボク個人としては、指名されたら裁判員になってみたい。単なる傍聴ではなく、裁判に参加するという経験はそうそうできないから。小説のネタになるかも、という下心もある。
でもそんなことが言えるのは、通知を目の前にしてないからだろうな。実際に選択を迫られたらどんな答えを出すのか、そのときになってみないとわからない。もしかしたら無断欠席するかもね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする