コロナが暴いた人間の差別意識
今月になってフランスで嫌な事件があった。フランスに在住している日本人女性が、見知らぬ男にいきなり塩酸をかけられたというもの。
幸いにも顔は無事だったけれど、塩酸を浴びて負傷された。この事件で最悪なのは、きちんとした報道がされていないこと。フランスのメディアはほぼ無視を決め込んでいる。
さらに腹立たしいのは、警察がまともに捜査しようとしないこと。日本の外務省は日本人に向けて警告を発したけれど、フランス政府や地元の警察は突発的な事件として重要視していない。
そもそもフランスにおけるアジア人差別は有名。日本人がフランスのレストランに入ると、店員があからさまに無視をしたり、アジア人ばかり集めた座席に追いやられるという出来事が頻発している。黒人に対する差別に抗議するフランス人の白人も、アジア人に対する差別を批判しない。
この状況に拍車をかけたのが新型コロナウイルス。中国が発症と見られることで、ヨーロッパやアメリカでアジア人に対する差別事件が明らかに増加した。
そんな現状に抗議するため、アメリカの女優が抗議の声をあげている。
アジア系への暴力や嫌がらせが増加、米女優オリビア・マンら立ち上がる
その女優はオリヴィア・マン。たしか『アイアンマン』に出ていたはず。アジア系アメリカ人の彼女としては、新型コロナをきっかけとしてアジア人差別に黙っていられなかったのだろう。彼女はこう述べている。
「アジア系の人々に対するヘイトクライム(特定の人種に対する憎悪による犯罪)は猛烈な勢いで増えている。私たちが自分の国で安全に暮らすには(みんなの)助けが必要だ。そして私たちに何が起きているか、きちんと伝えてくれる人たちが必要だ」
こうした声をオリヴィア・マンがあげたきっかけは、彼女の友人の母親が被害にあったこと。ニューヨークのクイーンズでパン屋の行列に並んでいるとき、アジア人という理由だけで突き倒された。犯人は暴行の容疑で逮捕されているけれど、反抗理由があまりにも理不尽すぎる。
変な言い方かもしれないけれど、新型コロナウイルスは人間の抱えている負の側面を暴き出しているような気がしている。もともと人間の心の奥に巣食っている差別意識が、コロナを理由にして表面化しただけなのではないだろうか?
これは日本人だって同じ。例えば感染した人に対するバッシングや、マスク警察、自粛警察という行為も、コロナによって暴かれた人間の暗部のような気がする。もしかしたらコロナウイルスは、人間に対して何らかの警告を発しているのかもしれないね。
アメリカでは新型コロナによる死者が50万人を超えた。そのなかで多数を占めるのは黒人らしい。差別や貧困によって、適切な医療を受けられない人がいるんだと思う。
ワクチン接種に関しても、国家単位の格差が浮き彫りになっている。いまのところワクチン接種を進めているのは先進国ばかり。ワクチンが手に入らないだけでなく、そうした医療体制が取れない国もある。これだってコロナが暴いた世界の現状だろう。
もしかしたら新型コロナウイルスは天国からの使いかも。不謹慎なのは分かっているけれど、ついそんなことを考えてしまう。
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