異端者であること
梅雨前線はどこに行ってしまったのでしょう。すっかり真夏の神戸です。蝉が鳴き、青空が広がって、梅雨明けのような気候です。
朝顔が似合う季節になりました。昨日の散歩中に出会った花です。
気温は30度を超えているのですが、昨晩からいい風が吹いています、京都と神戸が決定的に違うのは、この六甲山からの風です。この風のおかけで盆地特有の内にこもる暑さがないので、自宅にいる限り比較的心地よく過ごすことができます。今日は引きこもりで、仕事に集中することができました。
午後から楽しみにしていたドキュメントを見ました。私の大好きなジミ・ヘンドリックスというギタリストの特集です。『Purple Haze』という彼の大ヒット曲があります。その曲が完成されるまでの軌跡を追ったドキュメントでした。
出身地のアメリカで音楽活動を続けていたジミですが、あるイギリスのミュージシャンにその才能を見出されます。『朝日のあたる家』というヒット曲で有名なアニマルズというバンドのベーシストである、チャス・チャンドラーです。
マネジメントの仕事に就きたいと思っていたチャスにとって、ジミは恐るべき才能を持った存在でした。そこでイギリスに拠点を移して、ロンドンからメジャーデビューをすることになります。最初のシングルはカヴァー曲の『Hey Joe』でしたが、オリジナル曲として売れたのが2枚目のシングルである『Purple Haze』です。
でもこのチャスとの出会いがなかったら、ジミの未来はなかったかもしれません。才能があっても、やはり人との出会いが大切なのだと痛感しました。そうした出会いのチャンスを生かせずに、消えていったミュージシャンは数知れないでしょう。この曲に関して、いくつか面白いエピソードを知りました。
この曲には、「オクタヴィア」というギターのエフェクターが使用されています。高音の弦を弾いたとき、金切り声のような野性的な音を出す装置です。ロジャー・メイヤーという人物が開発しましたが、当初はレッド・ツェッペリンのギタリストであるジミー・ペイジに売り込んだそうです。
ところがジミーに断られた半年後、ロジャーはヘンドリックスの演奏を聞きます。その卓越したギターテクニックに惚れ込み、自分の開発したエフェクターを売り込みました。それがジミのお気に入りとなり、この曲にとって欠かせない音源となったそうです。
それからこの曲の由来も興味深い話しでした。ジミの夢を曲にしたとか、ドラッグ体験が元になっているとか言われていました。でもその真相はSF小説だそうです。ジミの当時のガールフレンドだった女性が、ジミはSF小説が大好きで、ある小説からこの曲の歌詞をイメージしたと証言していました。初めて聞いた話しだったので、とても面白かったです。
27歳の若さで世を去りましたが、表向きには睡眠薬の過剰摂取が死因です。でも他殺の噂もあります。駆けつけた救急隊の処置ミスで亡くなったという話しまであります。真相は分かりませんが、偉大なギタリストだったことは確かです。
ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、そしてジミ・ヘンドリックス。この3人の「J 」は、私の憧れであり尊敬の対象です。だからこそ一人だけこの世にいないジミ・ヘンドリックスという人物に対して、私は特別に好奇心をそそられます。異端者であり続けた人ですね。
左利きなのに、右利き用のギターを逆さまにして演奏します。ライブの最中にアンプのヒューズがぶっ飛ぶなんて、日常茶飯事です。ギターの弦を普通はピックで奏でまずが、ジミは自分の歯を使ってギターを弾くこともあります。彼の何もかもが、常識という一般人が持つ枠の存在を無視しているのです。
異端者であることはアーティストの最大の魅力ですが、しんどい生き方でもあります。社会と折り合えるかどうかというギリギリの境界線から、彼はギターを手にして叫んでいたのでしょう。だから早く逝ってしまったのかな。
もし彼がその境界線に踏みとどまって現在まで存命だったら、どのようなギタリストになっていたのでしょう? ジェフ・ベックの現在は想像がつきました。ジミー・ペイジも予想通りの生き方ですね。でもジミ・ヘンドリックスの未来は全く想像できません。だからこそ、彼は才能に溢れた異端者なのでしょう。
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