今日のウィルバーくん 3.5
前回から「スピリット」が物質化していく過程を内化、その物質が「スピリット」に戻る過程を進化、と説明するウィルバーの思想を見ています。これはマクロ的には宇宙の始まりから終わりまでを指す内容であり、ミクロ的には私たち個人のことでもあります。
そして私たち個人についても、一生、あるいは転生を重ねた単位で経験することでもあり、日々経験していることでもあります。日々の経験に関して言えば、夜の眠りは肉体が「スピリット」に戻る進化であり、朝の目覚めは「スピリット」が物質化する内化です。ウィルバーの言葉を見てみましょう。
〜以下抜粋。
「空」だけが、ごくごくかすかだが、ほのかな光の至福に縁取られている。それがすべてである。これが元因(コーザル)段階から出てきた時、微細(サトル)段階で感じることである。この朝もそうであった。粗大(グロス)な身体が、この微細な、ほのかな光に照らされた至福から抜け出してくる。
非常に区別しがたいが、そこには確かに境界がある。こうして身体を持つと、身体が全宇宙のように感じる。やがて寝室が固形化してくる。徐々に、徐々に、意識は粗大領域の習慣を受け入れる。それはこの身体が、この寝室のなかにいると告げている。そうなのだろう。こうして起き上がる。こうして「内化」(インヴォリューション)の過程が再び起こったのである。
けれども「空」だけは残る。いつものように。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『ワン・テイスト』より。
「スピリット」が内化を経験する時、元因領域、微細領域を通過して、粗大領域に至る、とウィルバーは言っています。以前ここでも書きましたが、元因領域は夢のない深い眠り。微細領域は夢を見ている状態。そして粗大領域が現実世界を知覚している状態です。
この文章はその3つの領域を通過しつつ、朝の目覚めを観察しているウィルバーの体験です。何となくでも、内化の過程を感じていただけるのではないでしょうか。
寝室が固形化してくる、という表現は面白い。そして身体が寝室にいることを自覚していきます。『自我』が目覚めた瞬間ですね。これが眠る時は逆になります。私たちは毎日この内化と進化を経験しています。そして一生を通じて、あるいは転生を通じて、もっと大きな意味での内化と進化を経験します。
しかしそこにはいつも「空」(くう)が存在していただけです。「空」を通じて現象が発生して、消えただけです。人間の一生と同じです。最後の文章は、そうしたことを言っているのでしょう。
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