SOLA TODAY Vol.90
UberやAirbnbという言葉が一般的になってきたことで、これからはシェアの時代に移行していくことが予想できます。わたしも数年前に自動車を手放し、どうしても必要なときはレンタカーを利用するようにしています。限りある資源を大切にするために、とても有効な方法だと思います。
でも個人レベルではやれることには限界があるので、どうしても自治体の協力が必要になってきます。法律の規制緩和だけでなく、もっと積極的にシェア生活への移行を後押しするべき時代が近づいていると思います。それを実際にやっている街があります。
120万人が暮らすフィンランドのヘルシンキで、とてもユニークな実証実験が実施されています。民間企業が開発した「ウィム」というアプリを利用することで、自動車所有ゼロを目指そうとする実験です。ヘルシンキは携帯の普及率が高いので、思い切った実験ができるとのことです。
このアプリを使って自分が行きたい目的地を検索すると、適正なルートと方法が明示されます。Uberのような自動車のライドシェア、タクシー、そして公共の交通機関を組み合わせることが可能です。これは自治体が協力するからこそできることですね。通常は競合する交通機関が手を取り合って連携するのは難しいでしょう。
鉄道の駅に近い場所に住む人もいれば、バスがなければ街の中心に出てこられない人もいます。あるいは自動車がなければ駅まで行けない地域もあるでしょう。でもこのアプリを使うことで、同じ場所に向かう人と自動車を乗り合わせることが可能です。1人が1台の自動車を利用していたら、いつまでたっても交通渋滞が消えることはありません。
思い切った決断をしたヘルシンキは素晴らしいと思います。この「ウィム」というアプリは間もなく他の地域でも使えるそうなので、さらにこのような実験に取り組む自治体が増えるかもしれません。この実験に自動運転車のシェアが加われば、さらに自動車所有ゼロに近づくと思います。
日本でもどこかの自治体でやってくれないでしょうか? 神戸などは鉄道網が充実しているので、トライしてみる価値があると思うのですけれどね。まずは公共交通機関が充実している都会でテストしてみると、その効果がわかりやすいと思います。自家用車がゼロになれば、渋滞は解消して空気は綺麗になりますし、無駄なガソリン消費も減ります。いいことばかりじゃないですか!
もっとも大きな障害は、個人の所有欲だと感じています。『自分』の車という所有にこだわる人はまだまだ多いでしょう。高級車や好む車を所有することで、『自分』のステイタスを守っている人っていまだに存在していますからね。つまらないプライドです。
そのプライドを維持するために、自家用車の必要性をこじつけている人は多いと思います。ちょっと思考を切り替えるだけで、自動車の必要性をシェアで満たせる時代になってきました。スマホという端末がそれを可能にしてくれています。本当に所有することが必要かどうか、真剣に考えるべきだと思います。
ヘルシンキの実験がうまく機能して、世界中の他の都市がその後を追うことを願っています。
最新刊の『永遠なる玉響 上巻』はBOOK☆WALKERのみでの販売です。こちらから購入できます。
『ゼロの物語』3部作は電子書籍のみの販売となりますので、こちらのホームページから販売サイトに行ってくださいね。
『STORY OF ZERO BOOK Ⅰ 〜ENCOUNTER〜』は全世界のAmazonで配信中です。日本のAmazonはこちらです。
『夢で会える 体外離脱入門』は在庫僅少ですので、お求めの方はハート出版さんや書店に問い合わせてください。Amazonでの注文はこちらです。