SOLA TODAY Vol.215
ここのところバタバタしていて、いつもの読書量を確保できていない。だから1日1冊という量を読むのは無理だけれど、それでも月に20冊くらいは平均的に読んでいる。
ところが全体的にみると、ボクのような人間は絶滅危惧種になりつつあるらしい。
1ヶ月に1冊も本を読まない人は約半数、進む読書離れ…電子書籍市場は拡大も
このタイトルは紙の本について調べたもので、1ヶ月に1冊も本を読まないという人が、平成14年度が37.6%、平成20年度は46.1%、平成25年度は47.5%と増加傾向にある。驚いたことに、半数近くの人が読まないと答えている。
年代別にみると、若い人より年配の人のほうが読んでいるというイメージを持っていた。でも実は若い世代のほうが読んでいる。いろいろなことに興味があるせいだろう。
年齢を重ねると興味のあることが減り、さらに老眼等が始まるので、60代以上の人が「読まない」と答えている最も多い世代らしい。年代的に言えば、10代が最も多く本を読むという結果が出ている。
この傾向は年代的なものだけではなく、ネットの普及の影響も大きいと思う。ネットがない時代は、本を読まなければ情報を得ることができなかった。でも今は、ネットで検索すればおおよそのことは理解できる。
これはアメリカでも同じで、やはり本を読む人は減っているらしい。電子書籍の読者は増えているけれど、紙の本を読む人が減った分だけ増えているのではない。全体として『本』を読む人が減っているということ。
電子書籍の伸びを支えているのは、日本の場合はコミックであることは知られている。AmazonのKindleで定額読み放題がスタートした直後、出版社ともめた原因は日本人がコミック好きだということを真剣に考えていなかった結果だと思う。
とにかく漫画は読まれても、長い文章を読むということは敬遠されつつあるのは事実。それはそれで事実として、受け止めるしかないと思う。
でもボク個人としては、もったいないなぁと真剣に思う。書き手の立場で言っているのではなく、これは本好きとしての言葉。
今はヘミングウェイの大長編を読んでいるけれど、本当に素晴らしい作品。古典作品は時代背景は古いのに、現代人が読んでも心がゆさぶられる。
本の良さは動画とちがって、作品に触れる個人意識の介入が大幅に増えることだと思う。読むための労力を使わなければ、その世界を体験できない。本というコンテンツは、その能動的な姿勢が求められることで、同じ作品でも人によってまったくちがうものを受け取ることができる。
ボクは子供のころから本が好きだったから、1ヶ月に1冊も読まないなんて記憶にないくらい。年齢を重ねるごとに読む量が増えてきて、人生で最大に読んでいるのは『今』だと思う。
本を読みましょう、なんてことを言うつもりはまったくない。どうしようが、その人の自由だからね。
だけど本を読まないことで、得られるはずの『何か』を逃しているのはたしかだと思う。紙でも電子書籍でもいいけれど、1冊の本を読み通す価値は計り知れないと思う。自分ではない他人の心に触れることで、より広い世界を知ることができるから。
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