SOLA TODAY Vol.478
今日も寒い。今年の冬はかなりきびしい寒さになりそうな気配だよね。
そんなときに欠かせないのが暖房。我が家はコタツと床暖房があるので、自宅にいる限り快適に過ごすことができる。でもいまだに灯油の移動販売の音楽を耳にするので、石油ストーブや石油ファンヒーターを使っている人もあるのだろう。
そんな暖房器具で珍しいのは薪ストーブ。うちはマンションなのでありえない暖房だけれど、近所の一戸建てで薪ストーブを設置しているところがある。ボクは子どものころから炎を見るのが好きで、この季節に焚き火を見つけると燃え尽きるまで飽きずに眺めていた。
そういう意味では薪ストーブとは相性がいいのかもしれない。男の憧れだという言う人もいるし、暖房としても優れているという話を耳にする。ところが実際はそうでもないらしい。面白い記事を読んだ。
薪ストーブが優れていると言われる理由として、代表的なものがある。この記事ではそれらを、「薪ストーブ神話」と揶揄して紹介している。
『だいたい、その温かさ自慢や炎で癒され自慢が多い。薪ストーブは遠赤外線を出すので身体の芯まで温めるとか、家中を温める、翌朝まで温かい、またなかには薪で沸かしたお湯で入れたコーヒーは美味い?』
著者が揶揄するには理由がある。単なるひがみではなさそう。
友人が念願の薪ストーブを設置した。ところがほどなくして体調を崩した。喉の痛みが激しく、気管支炎のような症状が出た。病院に通ったことでその原因がわかった。なんと薪ストーブらしい。
通常は部屋の湿度が40%だと乾燥に注意が必要になる。この人物の自宅は湿度が20%で、完全な過乾燥状態だったらしい。そりゃ喉を痛めるはず。
石油ストーブや石油ファンヒーターは、燃焼と同時に水分を出す。ところが薪ストーブは薪を燃やして煙突から室内の空気を外に排出する。だから室内の水分がどんどん屋外に放出されて乾燥するとのこと。
外の空気が入ってくればいいけれど、最近の住宅は気密性が高い。だからどうしても部屋が異常に乾燥する。部屋に洗濯物を干せばいいんだけれど、薪ストーブを置くような人はオシャレ感覚にこだわりがあるから、そういう不粋なことはしない。だから喉を痛めてしまう。
遠赤外線効果という『神話』もあるけれど、それもいい加減なことだとこの記事で説明されている。さらに就寝前に薪を放り込んで空気を絞れば、朝までおき火が残っていて温かいという『神話』もある。
たしかにそうなんだけれど、薪ストーブの空気を絞ると、炉内は酸欠状態になりやすくタールが大量に発生する。不完全燃焼のような状態になりやすいので、一酸化炭素が発生する危険があるらしい。それはマジで怖い。
どうやら憧れの薪ストーブにもいろいろと厄介なことがあるらしい。ボクがもし一戸建てに住んでいたとしても、この記事の事情を知らなくても薪ストーブは絶対に設置しないだろう。
なぜなら掃除が大変そうだから。ボクは常に掃除のことを考えてしまう。大きなはめ殺しの窓は部屋が明るくて快適かもしれないけれど、掃除を考えると拒絶反応しか出てこない。同じくこの薪ストーブに関しても、煙突や灰の掃除のことを考えるだけで憂鬱になる。
旅行で滞在した宿泊先で、なんの責任もなしに手を出せる薪ストーブならいいけれどね。憧れと現実のギャップを感じさせてもらえる、ユニークな記事だった。
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