SOLA TODAY Vol.553
この時期、20代のころはいつ寝ているのかわからないくらい働いていた。
それは所得税の確定申告。税理士事務所に勤めていたので、3月に入って15日までは、担当先の申告書作成に追われていた。きっと今も同じように、申告書とにらめっこしている人が大勢いるだろう。
そんな確定申告シーズンだけれど、今年はちょっと様相がちがう。それは昨年に仮想通貨が高騰したから。
ちょっと怖いタイトルだよね。だけどこれは事実。身に覚えのある人は、忘れず15日までに申告して納税しておいたほうがいい。さもないと、とんでもないことになってしまうだろう。
仮想通貨に関しての税務は、まだ不透明な部分が多い。今のところわかっているのは、利益確定すると課税対象になるということ。利確せずに含み利益の場合は、申告する義務はない。
具体的に言えば、ビットコインが値上がりしたので、現金に換えたとしよう。これは当然ながら課税対象。あるいは値上がりしたビットコインを使って、別の仮想通貨であるイーサリアムを購入したとしよう。これも利確と見なされて、申告しなくてはいけない。
もっと細かいことを言えば、ビットコインで100円のワッフルを買った場合、そのビットコインを100円以下で手に入れていれば、その差額も利益となる。だから何も考えずにビットコインを使っていた人は、想像を絶する煩雑な税務処理が待っているということ。
特にヤバいのは、去年に『億り人』となった人。極端な例だけれど、ビットコインが高騰して、1円で買ったものが1億円になったとしよう。よしこれを元手に投資しようとして、他の仮想通貨を昨年末に買ったとする。当然ならが1億円の利益が確定する。
ところが今年になって暴落した。1億円が1000万円になったと仮定してみよう。だけど昨年の利益は確定しているから、国税の雑所得と住民税で、5000万円くらいは納税しなくてはいけない。手持ちの仮想通貨を現金に換えても、4000万円も足らない計算になる。
そうなると、待っているのは破産宣告しかない。おそらくこんな人が今年は出てくると思う。
ボクは税務調査の立会いを何度も経験しているから、税務署の事情を少しは知っている。調査官はノルマを課されていて、少しでも追加納税額を増やさなければいけない。だから必死になっている。
ましてやマルサのある国税局なら、もっと大掛かりに調べている。この記事にも書かれているけれど、その方法は簡単なこと。仮想通貨の取引所を調査すれば、おおよその取引記録が把握できる。だから高額の利益が確定している人は、すでにリストに上がっているということ。
絶対に逃げられないと思ったほうがいい。3月15日の締め切りが過ぎて申告していないと、即座に税務署から『お尋ね』が届く。ボクの経験から言えば、ゴールデンウィーク明けくらいだろう。最悪の場合、国税局が令状を持ってくるかもしれない。
無申告加算税や延滞金等の追徴金を合わせると、とんでもない負債を背負ってしまう。場合によっては前科がつくかも。そんなことにならないように、忘れずに申告するべき。税金が払えるかどうかは、わからないけれどね〜w
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。