人間の人工冬眠が可能に!
不治の病になったとき、肉体を冷凍して治療法の確立を待つという映画やドラマは多い。最近でも『世にも奇妙な物語』で、ムロツヨシさんがそんな役を演じていた。
冷凍するということは、時間を止めることでもある。だからタイムワープのドラマとして好まれるのだろう。ただし、まだまだ現実のこととしては考えにくい。
ところが冷凍ではないけれど、冬眠に近いようなことが可能になっているそう。それも臨床試験段階に入っている。これはかなり驚くニュースだった。
血液の代わりに生理食塩水を流しこんで患者を急冷し治療後に蘇生するという手法が世界で初めて実施へ
これ、マジですごいよ!
この方法は「Emergency Preservation and Resuscitation(緊急保存および蘇生/EPR)」と呼ばれている。メリーランド大学の研究グループが行っているもので、すでに人間に対する臨床試験の認可を受けている。
EPRの対象となるのは、致命的な怪我を負った人。誰かに刺されたり、銃で撃たれたりすることで、大量出血して心肺停止となった人を対象としたもの。普通ならほぼ確実に命を落とすような人のために考案された。
血液を半分以上も失っていたら、普通は輸血するよね。ところがこの EPRはかなり冷たい生理食塩水を血管に注入する。それで患者を10度〜15度に急冷する。この段階で脳は活動を停止して、爬虫類の冬眠と同じような状態になる。
そのあと2時間くらいかけて手術を済ませ、患者を蘇生させるというもの。つまり数分で死に至ってしまう患者の時間を止めることが、このEPRで可能になるとのこと。
通常は心肺停止になると、およそ5分で脳は酸素欠乏を起こして不可逆的なダメージを受けてしまう。ところが肉体を冬眠状態にすると、必要な酸素量が大幅に減少する。それで脳にダメージを与えることなく、生存できる可能性が高くなる。
まるでSF映画のようなことだけれど、アメリカの公的機関は臨床試験に対してゴーサインを出した。それも緊急を要する患者が対象なので、本人の同意を必要としない。数分を争うような状況で、かつ心肺停止している。たしかに同意を取るなんて無理だよね。
副作用等の懸念はあるけれど、いくつかの薬を組み合わせることでダメージを最小限にできるらしい。2020年の末には臨床試験の結果を公表するので、それによっては本格的に導入されることになるだろう。
アメリカでは銃による事件が続発している。それはすでにテロだと言っていいほど。一人でも多くの人の命を助けるため、こうした手法が研究されてきたということだね。
それにしても、本当にこんなことができるなんて……。医学の進化に本気で驚いてしまった。
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