人を信じる仕事、疑う仕事
心の面において人間が素顔でいられるのは、親しい家族の前だけだろう。一歩外に出れば、普通はその場所に応じた『仮面』をつける。
その『仮面』が自分の理想どおりとは限らない。むしろ他人に見せたくない部分を隠すことが目的だったり、誰かをだますための偽りの姿だったりする。そんな『仮面』をつけた人が集まる場所がある。
それがホテル。そんなホテルを舞台にした映画を観た。
『マスカレード・ホテル』という2019年の日本映画。原作は東野圭吾さんで、シリーズ化されている作品。第1作目がこの『マスカレード・ホテル』で、『マスカレード・イブ』、『マスカレード・ナイト』と続く。
『マスカレード・イブ』は二人の主人公が直接的に出会う以前の作品で、時系列的には続編とは言えない。本来の意味の続編は、『マスカレード・ナイト』になる。もちろんこのシリーズの大ファンであるボクは、それらの原作をすべて読んでいる。
そのシリーズ作品で、初めて映画化されたのがこの『マスカレード・ホテル』になる。文句なしに最高の映画だった。ストーリーを熟知しているボクでも、ハラハラドキドキして最後まで画面に釘付けになった。最近観た邦画では、まちがいなくトップ1だと言える。
主人公は二人。警視庁捜査一課の刑事である新田浩介。そしてホテル・コルテシアのフロント係である山岸尚美。先ほどの写真のとおり、この二人を木村拓哉さんと長澤まさみさんが演じている。刑事は人を疑うのが仕事、ホテルマンは人を信じるのが仕事。この両者の対比と反発がこの映画の見どころ。
東京で3件の連続殺人事件が起きた。犯人は暗号を残していて、4件目の殺人予告に指定したのがホテル・コルテシア。そこで警視庁の捜査官がホテルに潜入捜査をすることになり、英語のできる新田がフロント係に成り済ます。その指導役が山岸という設定。
とにかくこの二人が最高。ボクが原作を読んだときのイメージのまま。木村拓哉さんはひたすらカッコいいいし、長澤まさみさんは山岸というキャラを完璧に理解されていると思う。
そしてそれを補佐する共演者が豪華すぎる。まるでプロ野球のオールスター戦の気分。特に新田の元相棒刑事を演じた小日向文世さんが素晴らしい。この3人は当然ながら、続編の『マスカレード・ナイト」でも大活躍する。
そしてもっとも衝撃的だったのが真犯人を演じた俳優さん。ここからはネタバレになるので、これから原作を読んだり映画を観る人は読まないほうがいいよwww
その俳優は松たか子さん。老婆に扮してホテルにやってきた彼女が真犯人。それもサイコパスのようでもあり、狂人のようでもある。そんな難しいキャラを松さんは完璧に演じていた。
配役を知らずに映画を観ていたから、松たか子さんだとわかったときの衝撃はすごい。『告白』という映画の女性教師役を演じた彼女を思い出した。とにかく一癖も二癖もある俳優さんが続々と登場するので、コメディ要素もあって本当に楽しい作品になっている。
カメラワークがとても良かった。ホテルの大きさや出入りする人の多さがリアルに伝わってくる。こうなると続編も映画化して欲しい。実はこの映画のエンドロールはすごい。そしてそのシーンで、最新作の『マスカレード・ナイト』を彷彿とさせる映像が使われていた。
きっと続編を考えているんだと思う。もう一度、木村拓哉さん、長澤まさみさん、そして小日向文世さんの3人組の活躍を観たいぞ〜〜!
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