命を守るための略奪と戦い
全国的にそうかもしれないけれど、今日の神戸は本当に寒い。そのうえ朝からずっと雨で、買い物の往復はなかなかの難行だった。冬の冷たい風と雨は本当に辛い。自宅マンションのエントランスに入った途端、心の底からホッとした。安心して眠れる暖かい家があるのは有り難いこと。
こんな真冬に森の中で暮らすことを想像しただけで凍死しそう。ところが実際にそんな暮らしを強いられた人たちがいた。実話だけに本気で胸が痛くなる映画だった。
2024年 映画#42
『ディファイアンス』(原題:Defiance)という2008年のアメリカ映画。第二世界大戦中のポーランド、現在ではベラルーシの西部にあたる場所が物語の舞台。ドイツ軍の侵攻によって、ユダヤ人が大量に虐殺され、収容所に連行されていた。そんななかドイツ軍から逃れて、森で暮らしたユダヤ人の集団がいた。1941年〜1942年に起きた実話を映画化したもの。
森の奥でユダヤ人たちを助けたのはビエルスキ兄弟たち。写真のように長男のトゥヴィアをダニエル・クレイグ、次男のズシュをリーヴ・シュレイバーが演じている。この二人に加えたアザエルという三男の3兄弟たちが大勢のユダヤ人の命を救った。
両親を惨殺されたビエルスキ兄弟たち。森に逃げた最初は家族だけだった。ところが同じように逃げてきた人たちが増えてくる。見捨てることができずに保護しているうち、そのグループが少しずつ大きくなった。両親を惨殺した警察署長を殺して復讐を果たした長男のトゥヴィア。けれども増えていく仲間たちをそのままにしておけない。
そのうえ街のゲットーに収容されいたユダヤ人を助けた。ということでグループはあっという間の大世帯に。食べるものさえ満足にない状況で、兄弟たちは戦うことを決意した。武器を得るためにはドイツ兵と交戦し、食べ物を確保するために農作物を強奪した。そのせいで、当時は山賊のように思われていたらしい。
次男のズシュとの確執等を経たのち、彼らは終戦まで森で生き続けたそう。最終的に生き残ったユダヤ人1200人を超えていたらしい。映画なので脚色されている部分はあるだろう。それでも彼らをここまで追い込んだのはドイツナチスであり、その暴挙に従った同郷の人たち。大勢の人間を食べさせるため、トゥヴィアたちは農作物を奪うしか方法がなかったのだろう。
この地域の歴史を少し調べてみると、かなり複雑な成り立ちとなっている。この当時はポーランドだったけれど、戦争後はソ連に併合されている。戦争以前は帝政ロシアの占領下にあったりと、とにかく周囲の大国に翻弄されている。そうして1991年にはベラルーシ共和国として正式に独立した。
でもこの映画に登場するユダヤ人たちの多くは、第二次世界大戦後にこの国を離れているだろう。トゥヴィアもアメリカで暮らしたそう。イスラエルに向かった人もいると思う。今ではロシアの属国のような状態で、ウクライナの侵攻に加担している国家でもある。日本人にはなかなか理解できない国情だと思う。色々と考えさせられる素晴らしい作品だった。
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