戦慄するほどの根気
我が家のバルコニーは東向きですから、夏の朝は温室を通り越して赤道直下のような暑さです。
ところがここ数日の朝は、５月だというのに朝のリビングはまさに熱帯。灼熱地獄のような暑さの中、朝食のホットコーヒーを飲んでいます。
買い物に出かけるとこの写真のように、のんきにグミを撮影したりしています。ところがその実態は大変。荷物を抱えて暑さにヘロヘロになりながら、自宅まで戻ってきているというありさまです。
昨晩は今年になって初めて寝室の窓を開けて眠りました。それほど夜になっても暑かったのです。おかげさまで眠ることはできましたが、問題は早朝です。
昨年からこのブログを読んでくださる方はご存知でしょうが、窓を開けると朝の６時と７時に大音響で起こされます。そう……。
「ヨイショ体操」で〜〜〜〜す
年配の方が集まって毎朝体操をされているのですが、最後に必ず歌を合唱されます。そのかけ声が「ヨイショ、ヨイショ」なのでそう名づけました。とにかくうるさい！ かなり近所迷悪です。365日欠かさず体操されていますが、窓を閉めている季節はなんとか大丈夫です。
でも夏場に窓を開けるようになると、早朝にその洗礼を受けることになります。今年になって初めて「ヨイショ体操」で起こされました。お元気なのはいいとしても、もうちょっと近所に対する配慮をしてくれたらありがたいのですが。
夕方になって冷たい風が入ってきました。天気が下り坂だからですね。今夜は窓を閉めて眠れることを願っています。まだ５月ですから「ヨイショ体操」の季節じゃないですよ〜〜！
さて、先ほど読了した本です。
『聖女の救済』東野圭吾 著という本です。
物理学者の湯川学が登場する、ガリレオシリーズの作品です。私が読むのは２作目です。全部で８冊ほどありますから、まだまだ追いつきません。湯川の活躍を読むのは２度目ですが、この作品はめちゃめちゃ面白かったです。
冒頭で読者に犯人は分かっています。夫である義孝を殺害したのは、妻の綾音です。読み手は犯人を知りつつ、登場人物たちがどのようにして犯人にたどり着くかを楽しむ構成です。私の好きなパターンです。
ところがどっこい、そうやすやすと逮捕されるような犯人ではありません。さすがの湯川もトリックを解明できずに、完全犯罪になるかと思わせるほど強敵でした。その根底にあるのは、戦慄するほどの根気なのです。
殺された義孝はひどい人間です。女性は子供を産む道具としか思っていません。殺されても、あまり同情できません。結婚して１年経って子供ができなければ、離婚するという契約をかわすような人間です。子供を産める女性を再び探すのです。
犯人の綾音は先天的に子供を産むことができません。それを隠して結婚しました。だから１年後には夫から離婚を言い渡されることが分かっています。だから１年前からいつでも夫を殺せるように仕掛けておいたのです。夫が１年後に契約を撤回してくることを願いつつ……。
ただ、それはとても危険な仕掛けです。注意しなければ１年以内に夫を死なしてしまったり、他の人を巻き込む可能性があります。だから逆説的ですが、夫を適切な時期に殺すために、夫を死なせないように注意する必要があります。それは半端でない根気を必要とします。
もし読みたいと思われる方がいたらつまらないので答えは書きません。ドラマにもなったからご存知の方もあるでしょう。でも私も予想できない手口でした。湯川がこの犯行を指して言います。
この犯罪は「虚数解」であると。理論上はあり得ても、現実にはあり得ない、という答えだったのです。
犯行に至る綾音の心理過程も興味深く、レギュラー刑事の草薙と内海のコンビも最高です。文句なく楽しめる小説でした。
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