究極の無いものねだり
人間は無いものねだりをする生き物だと思う。まぁそれは当然だよね。無いからこそ欲しいし、手に入れたいと思う。そのために仕事で努力したり、必死で練習に励んだりする。無いものねだりは、モチベーションの維持に欠かせないだろう。
そんな無いものねだりを追求した結果、最年少の億万長者になった人物の映画を観た。
『ソーシャル・ネットワーク』という2010年のアメリカ映画。久しぶりに見直した映画だけど、最初の印象と変わらずやっぱり面白かった。よくできた映画だと思う。
この映画のマーク・ザッカーバーグはクソ野郎。自分勝手で他人の気持ちがわからないから、交際している女性を平気で傷つけてしまう。Facebookのアイデアもパクったけれど知らん顔。対人関係的には人格障害のような、少し痛い人物として描かれている。
だからこそほとんど友人のいないマークが、Facebookを創設するという皮肉が面白い。初めて観たときには裁判の状況やストーリーを追うのに懸命だったけれど、二度目の今回はそのあたりを楽しむことができた。
自分にないからこそ友人を作れるサイトを作ろうとする。だけどすべてが空回りして、友人たちは自分の元から去っていく。集まってくるのは金の亡者のようなやつばかり。結果として唯一の親友だったエドゥアルドを会社から追い出し、そのことで彼に訴えられてしまう。なんとも辛くて切ないよね。
ラストシーンで、元カノのFacebookに友人申請しようとして何度も悩むマークの姿が印象的。お金があっても孤独だと幸せじゃない、という映画製作者の皮肉を感じる作品だった。まぁそういう意味では、かなり作為的な作品ではあると思う。
なぜなら現実のマーク・ザッカーバーグとかなりちがうから。奥さんのプリシラ・チャンとは、Facebook創設以前からの付き合い。二人の娘をもうけて、見た目には幸せな結婚生活を送っておられる。中国系である彼女の親戚と会話するため、わざわざ中国語を勉強するという思いやりのある人物なんだよね。
Facebook創設の過程や裁判は事実と合致しているだろう。それはそれでいろいろあったということ。これはTwitterでもAppleでも起きたことで、創業者たちがもめることは多い。莫大な金銭が絡んでるから仕方ないよね。
映画はあくまでもフィクションなので、そう思って観るとよくできた作品だと思う。ちなみに本物のマーク・ザッカーバーグは映画の内容については事実とちがうと否定しているけれど、身につけていた服装は当時をほううふつとさせるものだったらしい。それだけは笑顔で認めているらしいよ。
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