支援物資の詐欺を撃退するために
大地震等の大きな災害が発生したとき、世界中から寄付金や支線物資が届く。ネットがなかった時代に比べたら、より多くの人の善意が届きやすくなったと思う。その一方で、本当に被災地へ金銭や物資が届いているのだろうか、という疑問を感じることがある。
なぜなら「火事場泥棒」という言葉に象徴されるように、他人の不幸につけ込んで一儲けしようという連中は必ずいる。まっとうな組織でも、たった一人の人間に魔がさすことで不正を働くことも可能。あるいは完全に腐敗していて、物資の横領が横行しているような組織があるかもしれない。
そんなことを考える人は海外にもいるらしく、ある試みを実施した。そして最悪の結果が出た。
トルコ地震の救済支援物資が現地に送られていなかったことがAirTagで判明
今年の2月にトルコで大きな地震が発生した。被害は甚大で、建物の倒壊等で大勢の人が亡くなっている。そんなトルコを支援しようと、メキシコのジャーナリストが支援物資を送ることにした。それは米1袋と、トイレットペーパー1パック。
ただその物資が本当にトルコに届くのだろうか? そう思ったこの人物は、Appleが提供しているAirTagを荷物に埋め込んだ。そして行方を調査した。そんなジャーナリストの不安は的中。支援物資はメキシコシティの市場で転売されていることがわかった。
こうなればさすがジャーナリスト。そのまま黙っていはない。その悪事に関わる証拠を提示して動画で公開した。そうなれば政府も無視できない。この件に関して本格的な調査の実施を表明している。
ここで考えるべきことは、この事例がメキシコだからという捉え方をしないこと。客観的に見た場合、日本に比べたらメキシコの治安は悪いかもしれない。だからといって、日本で同じことが起きないとは限らない。寄付や支援物資を送った日本人の多くは、その後の追跡調査までしようと思っていないから。
例に出して悪いけれど、ユニセフという組織がある。世界規模で支援を実施している組織。だけど実情として、ユニセフへの寄付の多くは組織を維持するための人件費に消えていると言われている。それが完璧な事実ではないとしても、根も歯もない噂ではないと思う。人を動かすには金が必要だから。
それゆえ寄付金の使い道に関しては、きっちりした組織ほど正確な収支報告をしているはず。ボクが20代の頃に寄付していた海外里親制度の組織がそうだった。報告を見ている限り、使い道に関して不満を覚えることはなかった。
つまり不正を防止するためには、支援の流れを明確にすることが大切。金銭に関しては軌跡を追いやすい。でも物資に関しては数値化しにくいせいで曖昧になってしまう。そうした不安を払拭する意味で、この記事の出来事は明るい材料だと思う。
IT技術を応用して、無作為に、かつ突発的に支援物資の運搬状況をチェックするべきだと思う。そしてその結果をマスコミやネットを通じて、世界中に拡散していくのは効果的だと思う。さらに不正を摘発された組織には、重いペナルティを課せばいい。これだけで、支援物資の不正転用がかなり防止できると思う。
世知辛い話だけど、人々の善意を無にしないための行動が必要だと思う。
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