やっぱ、嫉妬するよなぁ
暖かいけれど、神戸は朝から厚い雲におおわれている。そして午後から雨が降り出した。数日は雨のようだから、菜種梅雨というところかな?
これだけ気温が上がると、猫のミューナも布団に入ってきてくれなくなる。猫と暮らす楽しみは、冬の添い寝。体温の高い猫をだきながら、ヌクヌク気分で寝るのは本当に幸せなもの。
もう次の冬までないだろうなぁ、と思っていた。ところが今朝のミューナは、朝から気温が10度以上あるにも関わらず、ゴロゴロと喉を鳴らしながら布団にもぐりこんできた。もっと寒い日でもスルーだったのにね。
猫の思考回路は、マジでよくわからない。何かのスイッチが、急に入るんだろうね。ほんと気まぐれw
でもそれだから、プレゼントをもらったようでうれしいのかも。でも今度布団に入ってくるのは、次の冬なんだろうな。真夏は近寄りもしないからね。こちらもゴメンだけれどw
さて、ちょっと風変わりな小説を読んだ。2016年に小説すばる新人賞を受賞した作品。なんと史上最年少での受賞とのこと。
『星に願いを、そして手を。』青羽悠 著という本。
著者の青羽さんは、2000年生まれ。だからこの作品で新人賞を受賞したのは、16歳ということになる。もうビックリ!
なぜこの作品が気になったかというと、ボクも同じときにこの新人賞に応募して、落選していたから。それで受賞した作品がどのような内容か、ずっと気になっていた。
読み始めてビックリ。とにかく文章がうまい。そして人間をよく見ている。自分が16歳のときのことを思うと、同じ人類だとは思えないw
ボクなんて16歳のとき、本は好きだったけれど小説を書こうなんて思ったこともない。頭のなかの8割くらいは異性のことで埋まり、残りはオートバイと酒タバコで大入り満員状態。まるで人間がちがうよね。
16歳でこんな素敵な小説が書けるんだものなぁ。正直言って、その若さと才能に嫉妬している。そう思うと、ボクなんか未来がないよなぁ(涙)
独特の世界観がある小説だった。子供のころから幼馴染の4人の男女が、社会人になって地元で再会する。そこで待っていたのは、4人がたまり場にしていた科学館の閉館。そのきっかけになったのは、4人に大きな影響をもたらした館長の死だった。
語り手は3人で、その4人のうちの裕人と理奈という男女がメイン。2人は高校生まで恋人だったけれど、裕人が夢を叶えることから逃げたことで別れている。そしてもう一人の語り手が、直哉という館長の孫。高校2年生だから、この直哉が著者にとっては等身大の人物になるんだと思う。
夢を叶えられなかった館長と、夢から逃げた裕人。そして進路に迷いを抱えている理奈。そしてこれから夢を探そうとする直哉。そんな人物たちが、館長の残した謎を通じて、自分の進むべき道を見つけていくという物語。
とてもピュアな小説だった。雰囲気的に、新海誠さんのアニメと同じものを感じた。きっと今の若い人たちが持っている感覚なのかな。
同時に著者の若さを感じたのも事実。いい人しか出てこないのが、ちょっと不満だった。館長の夢が潰れたことが、物語の謎として書かれている。だけどボクのような年代からしたら、そんな挫折なんて数えきれないほどある。夢を諦めたり、逃げ出したり、そして失敗した経験なんていっぱいある。
だけど館長とその友人は、たった一つのミスにこだわって人生を棒に振ったように思って生きている。その部分にどうしても引っかかってしまった。この程度のことで失望してたら、命がいくつあっても足らんやん、というのがボクの本音。
そして4人の男女が、やたら過去にこだわっているのも気になる。社会人になったばかりのときって、新しい環境で生きるのに精一杯だと思う。でも昔のことばかり思い出していて、まるで老人のように思えてきた。読者として違和感を覚えたのは、そのあたりかな。
でもこんなことを書いていると、やっぱり負け惜しみに見えるよなぁ。まぁ嫉妬はエネルギーだからね。しっかり燃やさせてもらいます!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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