この機会に安楽死の法制化を
昨日のニュースに目が釘付けになった。京都在住の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者を殺害したとして、二人の医師が逮捕されている。容疑は嘱託殺人。
いわゆる安楽死に関する事件。ボクは以前から安楽死について、詳細を定めて法制化するべきだと考えている。だからこのニュースに強く興味を持った。
いくつか記事をチェックしていると、この文春の記事がかなりくわしく書かれていた。
《SNSで接点》100万円で京都ALS患者殺害 容疑者40代医師はペンネームで「高齢者を『枯らす』技術」執筆
安楽死には大きく分けて2つある。『積極的安楽死』と『消極的安楽死』というもの。
『消極的安楽死』は患者の意思に基づいて延命措置を中止するもので、これは医療現場で事実上容認されている。だから罪にはならない。
『積極的安楽死』は患者を死亡させる致死量の薬物を投与したり、服用させるために提供するもの。これは日本の法律では違法であり、「殺人」、「嘱託殺人」、「承諾殺人」や「自殺ほう助」の罪に問われる可能性がある。今回の逮捕はこのケース。
ただし「積極的安楽死』が認められている国もある。オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、コロンビアなど。特にオランダが有名で、年間で6000人の安楽死が実行されているらしい。
今回逮捕された一人である医師の大久保さんは、以前から『積極的安楽死』を主張していたらしい。SNS等でその意見を表明していたので、病気で苦しむ京都の女性が接触してきたのだろう。
ただし専門家の意見によると、今回のケースはオランダ等の安楽死の基準に当てはめても、ちょっと早急な対応だと言わざる得ないらしい。亡くなった女性にまだ死期が迫っていないうえ、逮捕された医師が苦痛の緩和を尽くしたとも見られないから。それゆえ逮捕も仕方ないのだろう。
だからといって、はいこれで終わり、というわけにいかない。なぜなら同じことが必ず起きるから。
治療の見込みがなく、死ぬまで苦痛しかない人生を想像できるだろうか? どれだけイメージを働かせても。その苦痛と恐怖は本人にしかわからないと思う。だから少しでも安らかに死にたいと思うのは、人間として自然な、そして切実な想いだろう。
現状の法律のままグレーな状態を容認していると、患者だけでなく、親身になってくれる担当の医師も苦しめてしまう。治療はできないし、苦痛を和らげてあげることもできない。医師としての無力感に絶望する人もあるだろう。でも一線を超えたら、殺人罪で逮捕されてしまう。
今回の事件を機会に、国会議員の人たちは安楽死について真剣に協議してほしい。高齢化社会になった日本にとって、これは絶対に無視できないことだと思う。
できる限りの想像力を働かせて、自分が患者の立場になった状態を考えてほしい。きちんと法制化することで、不当な安楽死も排除できる。でもいまのままだと、絶望の闇がさらに濃くなっていくだけだと思う。
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