日本のフォレストガンプ
毎日春のような陽気が続いています。今日も買い物の帰り道は暑さを感じながらのプチ登山でした。空は相変わらずかすんでいます。
今日の午前中に家を出たときの写真ですが、これでもうっすら晴れています。このモヤモヤしたのはきっと黄砂でしょうね。
いよいよ来週からは３月です。去年の今頃は、ちょうど東京行きの準備をしている頃でした。このダイヤモンドブログを始めるにあたって、インタビューを企画していただいたからです。早いもので４月５日になりますと、ブログを引っ越して１年になります。
それまで書いていたgooのブログは現在でも残しています。まだかなりアクセスが続いていましたので、引越し先を明示したままで置いておきました。最近はようやく引っ越しが浸透したようですので、検索ワードでかかった方が寄ってくださる程度になってきました。
ということで告知です。今年の４月４日をもって、そのブログを閉鎖する予定です。今と変わらず大したことを書いていませんので、惜しむ方はいないでしょう。ただいきなり閉じるのもなにですから、当日まで何度か告知する予定です。今日はその第１弾です。
さて、２時間前に読了した本の紹介です。
『錨を上げよ』百田尚樹 著という本です。
この写真ではわかりませんが、メチャ分厚い本です。全部で600ページあります。さすがに１日では読み切れませんでした。ただこれで終わりではありません。これは上巻ですので、まだ下巻が残っています。今日下巻を借りてきましたが、これまた600ページの大長編です。文字数も多く、行間がびっちり詰まっています。
ところが読み始めると止まりません。面白くて笑い転げ、怖くてドキドキし、なるほどと納得しながらも感動しています。奇想天外な主人公の人生を描いた物語ですが、ある部分著者の百田さんの私小説的要素の強い作品だと思います。
主人公の名前は作田又三。作田という名前だけで百田さんをイメージしますね。昭和30年の早生まれですから、学年的には私より８つ上の登場人物です。昭和30年から昭和60年頃までの世界が、主人公の作田の視点を通じて描かれた作品です。私と年代は少し離れていますが、それでも懐かしい話題ばかり。
昭和の高度経済成長期を象徴するような電化製品の進歩。大阪での万国博覧会。変わりゆく住宅事情。激しい学生運動や受験戦争。荒れた学校や暴走族が全盛だった時代。そうした昭和の生きた歴史が主人公と一緒に生き生きと蘇ってくる物語です。
主人公のタイプは違いますが、私はトム・ハンクスが主演した『フォレストガンプ』という映画を思い出しました。1960〜1970年代アメリカの歴史と共に駆け抜けた姿の、規模は小さいですが日本版のように感じる物語です。
とにかく主人公の人生は波乱万丈ではちゃめちゃです。でもとても共感できます。人間の生まれた環境や経済的な格差等、自分ではどうしようもないものが存在するのは確かです。今と比べてそうした思いがさらに強かった時代だと思います。子供の頃から学校でいい成績を取り、一流大学に進学して、一流の企業で終身雇用される。そうした理想がはびこっていた時代です。
つまり貧富の差や能力の差を自覚することのない幼い頃からそうしたレールが引かれ、その基準に従って人間の価値を判定するような時代でした。そんな社会の軋轢に我慢のならない主人公が、七転八倒して戦います。でもその戦いがあまりにも可笑しく、あまりにも悲しく、あまりにもいい加減で、あまりにも感動させられます。
上巻は著者の百田さんと同じく、京都の同志社大学を中退するところで終わっています。その後の百田さんの進路は知っていますが、この物語の主人公は違った道を歩むようです。ちょっと調べてみたら、百田さんのデビュー作は2006年の『永遠の０』ですが、その20年ほど前にひっそりと書いて置き去りになっていたのがこの小説だそうです。さて、これから下巻をじっくり楽しみたいと思います！
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