逃げることは、悪いことじゃない
夏至を過ぎて、季節はぐいっと夏に向かって進んだように感じます。晴れてはいるのですが、雲が多くて蒸し暑い。午前中に買い物を終えて帰ってきた時は、身体が重くてだるいように感じてぐったりしていました。夏至から9月の末までは北海道で過ごしたい〜〜、と毎年妄想しています。
そんな気候でも花たちは元気です。この写真の花は何というのかな? 夏を象徴する夾竹桃も咲き始めています。そのうち百日紅も美しい花びらを見せてくれるでしょう。暑い夏を待ちわびている植物たちもいるのですね。
それでも午後からは気合を入れ直して、しっかり仕事をしています。夕方になって近所の女子校からクラブ活動中の元気な声が聞こえてくると、さらにパワーをもらえる気がします。学校帰りの小学生たちも元気です。そうした声に囲まれて生活できるのは、幸せかもしれませんね。
さて、昨晩に読了した本です。3〜4時間でさっと読めますが、とても心に残る本でした。
『こんな僕でも社長になれた』家入一真 著という本です。
家入さんの名前は、昨年の東京都知事選で初めて知りました。選挙の供託金をクラウドファンディングで集めて、ネットを通じた選挙活動をされてるので注目していました。最終的には落選されましたが、16人立候補して5位の得票数でした。ユニークな方だなぁ、と思って調べてみると、最年少記録で自分の会社をJASDAQに上場された起業家だと知りました。
そんな家入さんの、少年時代から起業されるまでの半生が綴られた本です。私の人生と共通する部分が多かったので、共感しながら読ませていただきました。いろいろな小説をかなり読み込まれているようで、文章は小説タッチです。ですから物語を読んでいるような気分で楽しめました。
子供の頃は常に人の輪の中心にいて、周囲を笑わせていた家入さん。しかし中学生の時のある出来事で、引きこもりになってしまいます。そのまま高校に進学しても他人と接触することができず、高校を中退されてしまいます。そのあたりの気持ちが、私には手に取るように分かります。
引きこもりになるかどうかなんて、ちょっとした違いだけです。私も何かの出来事が起きれば、全く同じ状態になっていたと思います。引きこもりになって、毎日自宅の鏡で笑顔を練習されている家入さんの様子は、他人事ではありません。昨日のブログでも書きましたが、私はその「笑顔」でかろうじて普通の生活を維持していただけですから。
大検に合格して大学受験をされる時、新聞配達の奨学制度を利用されたのも共感できました。私も高校生の頃に新聞配達をしていましたから、どれほど大変なことかよく分かります。同じように奨学制度で予備校に通っておられた方も、私が新聞配達していたお店におられました。
でも、いざとなったら逃げてしまう家入さん。大学受験も、就職も、逃げることで機会を逃していく人生でした。この部分も、私と同じです。私は過去に転職をいくつも経験していますが、そのほとんどはステップアップというよりは、現実逃避でした。現況から逃げたいから、環境を変えようとするのです。まるで私の自叙伝を読んでいるような気分でした。
それでも上場するような会社の経営者となられました。その会社はすでに去られていますが、今でもいくつもの事業の出資をしたり経営参加されています。人生の不可思議さと面白さを感じさせてもらえる本でした。あとがきに書かれた言葉が印象的でした。
「逃げることは、悪いことじゃない」
「どんな道にも必ず行き止まりはある。自分が、道の行き止まりに立っていることに気づかずに、前に進めないともがき続けるくらいなら、来た道をちょっとだけ戻って、やり直してみればいい。身動きが取れないことに絶望的になって、自ら命を絶ってしまうくらいなら、誰も追ってこないところまで、全力で逃げればいい」
なるほどなぁ、と思って読みました。自分が抱える問題から逃げずに、正面突破して向き合うことは大切だと思います。そうすべき時もあるでしょう。でも決して逃げてはいけない、などと思わないほうがいい。逃げることは、悪ことじゃない。私もそう思います。
この本を書かれて以降の家入さんの人生は、さらに波乱万丈のようです。なかなか興味深い人物だと思います。
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