SOLA TODAY Vol.800
PayPayの登場で、ここのところ日本のキャッシュレス化が一気に加速している。ボクとしてはAmazon Payに期待しているんだけれど、とにかくこうした流れには大賛成。中国と同じように、いずれQRコードがあちこちの店舗を席巻するようになると思う。
だけどこのキャッシュレス化には、忘れてはいけない大きな落とし穴がある。
決済システムが変わっただけで、構造的な本質は何も変わっていない。現金が財布から消えただけで、従来どおり依存しているものがある。
それは『銀行』という中央集権システム。
PayPayであろうが、クレジットカードであろうが、最終的にお金が落ちるのは銀行口座。つまり銀行口座が無い人は、こうしたシステムを使えないということ。決済システムの根幹を牛耳っているのは銀行であり、例えば口座を閉鎖されたらボクたちは途方にくれることになる。
世界恐慌や世界大戦のようなことが起きない限り、銀行口座が閉鎖されるなんてあり得ないだろう。そう思っているあなたは、この記事を読んだほうがいい。
「あなたの口座を閉鎖します」40年パリに暮らす私が遭遇した“落とし穴”
暴動で何かと物議をかもしているフランス。そんなヨーロッパの先進国であるこの国で、突然銀行口座を閉鎖される人が増えているらしい。
そうなるとクレジットカードは使えないし、公共料金の引き落としもストップしてしまう。もちろんPayPayのようなサービスも利用できない。
口座を閉鎖される理由は、いたってシンプル。顧客が銀行を儲けさせているかどうかだけ。
給料の振込口座にして、公共料金等の引き落としを利用していても、銀行にはたいしてお金が入ってこない。銀行が収益と見なすのは住宅ローンでもカードローンでもいいから、とにかくお金を借りてくれる人。
つまり単なる決済口座に使っているだけなら、「あなたの口座を閉鎖します」と通告されてしまう。どれだけ抗議しても取りつく島もないらしい。会社の決定だとして言い張られてしまい、ひどい場合には嫌がらせを受けるとのこと。
口座の管理手数料を払っているのに、こうしたことが頻繁に起きている。これは対岸の火事ではないと思う。日本でも口座管理手数料を取るという動きが出てきている。儲からない顧客のために口座を維持することに疑問を感じている証拠だろう。
この先、フランスと同じようなことが日本でも起きても不思議じゃない。どれだけキャッシュレス化が進もうと、口座決済というものが存在している限り、どう考えても銀行の方が有利な立場だろう。
だからこそ仮想通貨の台頭が望まれる。ここのところ大暴落している仮想通貨だけれど、既存の銀行のような中央集権システムではない。ネット上の強固な暗号に守られて、決済資金を維持することができる。銀行が自分の口座を閉鎖しようと、痛くも痒くもない。
キャッシュレス化は大歓迎だけれど、決済システムが有している古い構造を変えていかないと、いずれマズいことになってしまうような気がする。PayPayの登場は、仮想通貨の本格的な実用化を目指すチャンスだと思う。
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